ALBA Net  ゴルフ
ALBA Net  ゴルフ
注目!
ツアー情報

どん底から這い上がった“元飛ばし屋” ワンオンチャレンジで1Wを封印した山城奈々の覚悟

苦悩を味わってきた31歳の山城奈々が、かつての武器を捨て、新スタイルで初優勝へと向かっていく。

所属 ライター
臼杵孝志 / Takashi Usuki

配信日時:2025年5月31日 09時00分

ドライバーを振る恐怖も味わった元飛ばし屋が、新たなスタイルで初優勝へと進んでいく
ドライバーを振る恐怖も味わった元飛ばし屋が、新たなスタイルで初優勝へと進んでいく (撮影:佐々木啓)

<リゾートトラスト レディス 2日目◇30日◇グランディ鳴門ゴルフクラブ36(徳島県)◇6585ヤード・パー72>

ティイングエリアを前に出し、通常の340ヤードから295ヤードに設定された池越えの14番。多くの選手がドライバーを握り、ワンオンに挑んだ短いパー4で、プロ12年目の山城奈々が手にしたクラブは8番アイアンだった。

【連続写真】今は抑え目 “元飛ばし屋”山城奈々のドライバースイング

「刻みました。距離的には届くけど、これまで無理をして、いいことがなかったので。刻んでバーディチャンスにつけるのが、一番いいかなと思いました」

残り105ヤードの2打目は52度のウェッジで打った。ボールはピン左手前6メートルにオン。長いバーディパットを沈め、思惑通りにスコアを伸ばした31歳は「いい感じでゴルフを組み立てられている。今はそこを一番に考えています。スコアにつながれば、自信もつくし、もっといいゴルフができると思う」と満足そうにうなずいた。

初日は4バーディを奪い、「68」で8位。ボギーなしラウンドは2022年8月の「NEC軽井沢72」最終日以来だった。2日目はティショットが左バンカーにつかまった15番をダブルボギーとしたが、スコアを落としたのはこのホールだけ。前半のアウトで3バーディ、後半はパープレーで耐えて、トータル7アンダーの2位タイまで浮上した。

TP単年登録(現在は制度廃止)した14年1月1日付でJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)に入会し、プロとなった。同年7月にはプロテストに合格。その年は30試合に出て、「NEC軽井沢72」で4位、「ヨネックスレディス」で5位に入るなど、シードは逃したが、賞金ランキング54位と上々のルーキーイヤーだった。常にドライバーを振り回し、OB、ダボ、トリプルボギーもあるが、バーディも量産する。“フルスイング”が生み出す飛距離が最大の武器だった。

だが、プロ1年目の成績がここまでのキャリアハイになっている。イップス気味となったドライバーの不調から極度の不振に陥り、18、19年は1試合に出ただけ。統合シーズンとなった20-21年は46試合に出場し、3度のトップ10入りはあったが、16試合で予選落ち。メルセデス・ランキング(MR)は63位に終わった。出場機会が激減した23年と24年の獲得賞金は0円。下部のステップ・アップ・ツアーが主戦場になっていた。

「ドライバーは9年前くらいから悩み始めました。最初のころはそれでも振っていたけど、もっと曲がるようになった。フェアウェイウッドやユーティリティをティショットで使ったこともあるけど、それも怖くて振れなくなった。ステップでは全部アイアンで打ったこともあります。それで優勝争いをしたこともあったんですよ」

試行錯誤の末に“ブンブン丸”を卒業し、安全運転に徹することを心に決めた。昨年の最終QTは19位に入り、今季前半戦の出場権を獲得。5月の国内メジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」は初めて最終日最終組で回り、6位になった。MRは現在36位。長いトンネルの出口がようやく見えてきた。

「明日も変わらずにいきます。ティショットは気持ちよく打てているし、セカンドもいい感じ。攻めたい気持ちは抑えていきたい」

JLPGAの公式スタッツに初めてドライビングディスタンスが載った17年は252.45ヤードで5位だった。今週の2日間の平均は237ヤード。抑えた分は85.7%(24/28)というフェアウェイキープ率が十二分に補い、「最も重視している」というパーオン率を高め、チャンスをつくり出している。

プロデビューから164試合目での初Vがかかった決勝ラウンドの2日間。1988年のツアー制度施行後、入会&TP登録日から4169日で初優勝を果たせば、ツアー史上4番目のスロー達成となる。

3月の「アクサレディス」では32歳の工藤遥加がツアー史上2番目に遅い4981日で初優勝を飾った。「遥加さんも同じように苦しんでいた時期があった。すごく刺激になっています」。ステップでは16年に2勝、昨年も2勝をマークした。勝ち方は知っている31歳が、今週は歓喜の瞬間を迎える。(文・臼杵孝志)

関連記事

【この大会のニュース】

読まれています

JLPGAツアー 週間アクセスランキング

ランキングをもっと見る

大会情報

  1. 国内男子
    開催中
    2025年12月4日 12月7日
    ゴルフ日本シリーズJTカップ
  2. 米国男子
    速報中
    2025年12月4日 12月7日
    ヒーローワールドチャレンジ
  3. DPワールド
    速報中
  4. DPワールド
    速報中
    2025年12月4日 12月7日
    ネッドバンクゴルフチャレンジ
  5. アマチュア・その他
    開催前
    2025年12月4日 12月8日
    LPGA Qシリーズ(最終予選)
  6. アマチュア・その他
    開催中
    2025年12月2日 12月5日
    JLPGAファイナルQT

おすすめコンテンツ

関連サイト