<樋口久子 三菱電機レディス 最終日◇1日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6690ヤード・パー72>
「地元で勝ちたいというのは、自分の目標のひとつ」。埼玉県川越市出身の佐久間朱莉は、最後3メートル強のウイニングパットを流し込んで“夢”を叶えた瞬間、両手を高くあげてよろこびを体全体で表現した。ギャラリーからの拍手と歓声を浴びる時間を、感慨深げな表情で堪能。「うれしい気持ちとホッとした気持ちが入り混じってました」。通算8勝目は特別な1勝になった。
その勝利に花を添えたのが連続ボギーなしホールのツアー記録更新。先週の「マスターズGCレディース」1Rの4番ホール(インスタート)から、三菱電機レディスの最終ホールまで114ホールに伸びた。2024年に山下美夢有が記録した113を上回り、次戦の「TOTOジャパンクラシック」では、さらなる更新にも期待がかかる。
記録について知ったのは、最終日のアテスト後だったという。「このコースでボギーを打たなかったことはうれしいし、ショートゲームをたくさん練習してきたことが結果に表れている」と言うが、そこに至るまでにはピンチも乗り越えた。8番では2メートルのパーパットを決め、大きくガッツポーズ。「ここでセーブできたら流れが来ると思っていた。決め切ることができて良かった」。17番でも同じくらいのパットを決めパーを拾った。
「私のゴルフ人生で、強くなるきっかけをくれた大会」と振り返る試合がある。それが同じく埼玉の石坂GCで行われた、2024年の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」。この時まだ未勝利だった佐久間は、最終日を首位のひとりで迎えて「66」と好スコアも出したが、阿部未悠に1打及ばずに2位で終え、悔し涙が止まらなかった。「そこから少しは強くなって地元で優勝する姿を皆さんにお届けできました」。
最終18番ホールでは、バーディパットの直前に小祝さくらに3.5メートルを決められ、土壇場でトップに並ばれた。「シンプルに『さすがだな、上手だな』って思ってました」。しかし、その直後に絶妙な距離を入れ返した。そんな勝負強さの原点も、この地元・埼玉にある。
現在メルセデス・ランキング1位に立つ桑木志帆との差も878.63ptに縮めた。ただ次週のTOTOジャパンクラシックで、桑木に獲得ポイントで21.38ptの差をつけられると、3試合を残す史上最速タイ記録でライバルの女王戴冠を許すことになる。さらにその日米共催大会は、勝てば米ツアー出場権も得られる。今年の予選会(Qシリーズ)を受けないことはすでに明言しているが、「勝ったら(米ツアーに)行くんじゃないかなと思います」という言葉も口にした。“重要な一戦”になる。
表彰式では同じ川越市出身の樋口久子から、“優勝者の証”白色のブレザーを着させてもらった。「私が初めてベストアマを獲ったのがこの大会で、その時に初めてツーショットを撮らせてもらいました。今年はチャンピオンとしてブレザーを着させてもらえた。スーパースターに着させてもらえたことはとても光栄です」。この日の経験も、さらに佐久間を強くする重要な要素になるはずだ。(文・間宮輝憲)
