青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が、好調な選手や注目選手の強さのヒミツを解説。女子ツアーでの流行など現場からのホットな情報をお届けする。
今大会は住友ゴム工業が特別協賛する「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」。ホステスプロ青木瀬令奈、安田祐香、中村心ら“チーム大西”の選手たちにとって、特別な意味を持つ一戦。今回は特別編として、今季ここまでの戦いぶりとともに、互いに刺激を与え、支え合いながら成長を続ける選手たちの姿を紹介する。
■「瀬令奈さんが見てくれた」 安田祐香を支えた“チーム大西”の存在
8月の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」でツアー3勝目を挙げた安田祐香。初日からツアー自己ベスト、大会記録に並ぶ「61」をマークすると、2日目も「64」を記録。2日間の合計ストロークを「125」とし、2003年「ミズノクラシック」でアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が記録した最少ストローク「126」を1打更新した。
まさに圧巻の完全優勝。だが、本人は「(好調の)実感はない」と、いたって冷静だった。シーズン序盤には、アプローチでなかなか結果が結びつかない、もどかしい時期もあった。そんなときに支えになったのが、同じ“チーム大西”で戦う青木瀬令奈の存在だった。
「気分が上がらない時も、瀬令奈さんが見てくれたから自信を持ってNECも戦えた」。チームにはポジティブシンキングな選手が多く、その雰囲気が自然と力を与えてくれる。なかでも青木は、安田にとって目標であり、頼れる先輩でもある。
「瀬令奈さんをいつも追いかけてやっている」。頼れる先輩を目標に、成長を続ける安田。大西氏も「記録と記憶を残していっている。ツアーを引っ張っていってほしい」と、今後のさらなる飛躍に期待を寄せている。
■青木瀬令奈はアスリートとして「不思議な感覚」に
その青木は、ゴルフという個人競技のなかでチームとして切磋琢磨を続ける現状を、にこやかに「不思議な感覚はありますね」と話す。2015年からシードを守り続け、ツアー通算5勝。長年、第一線で活躍を続けてきたアスリートだが、その“不思議な感覚”はこんな部分に感じるという。
「日本女子オープンに出場するため、NEC(NEC軽井沢72ゴルフ)終了時のメルセデス・ランキング30位以内に入っていないと予選会に出ないといけなかった。祐香ちゃんが優勝すると抜かれるという状況だったし、アスリートとして“優勝するな”っていう気持ちになるべきだと思うんです。でも、うれしかったんですよ。抜かれたら抜かれたで予選会に行けばいいやって思えたし、祐香ちゃんは妹という感じ。最近は心ちゃんも一緒なので3人で頑張ろうと思いますね。不思議ですね」
実際、青木は予選会から、今年の日本女子オープン出場権をつかんだ一人。それでも“妹の勝利”を心から祝福できたことは、自分でも不思議な感情というわけだ。
もちろん優勝争いになれば、自分の勝利を目指すのが本能。譲るつもりは一切ない。それでも、「素直に活躍をよろこべる子がいるというのは、自分にとってもプラスですし、練習ラウンドを一緒にやらせてもらって、学ぶ部分がたくさんある。持ちつ持たれつというのは感謝している部分ですね」。2勝を挙げた23年以来、3年ぶりとなる勝利を目指すうえで、チームから得られる刺激も大事な要素になっている。
■苦しいときは、一人じゃない 中村心も“チーム大西”で変化
ツアー2年目の中村心は、今季序盤は苦しい時間を過ごしていた。「ショットに不安があって振れないことが多かった」。自身初戦から2戦連続で予選落ちに終わると、その後も立て続けに決勝進出を逃した。思うようなゴルフができない中、6月の「ニチレイレディス」から大西氏に見てもらうようになった。
スイングだけではない。「イメージをもっと明確に」と助言を受けたことで、ゴルフに向き合うマインドにも変化が生まれた。大西氏と練習ラウンドを共にした際には、「ミスのことを考えずに、ターゲットを決めて振り抜くだけ」とアドバイスを受けた。それを意識することで、少しずつ怖さを振り切れるようになっていった。
大西氏も「どんどん良くなってきている」と成長を感じている。7月の「明治安田レディスゴルフトーナメント」以降は予選落ちが1回と、安定して決勝進出を果たしている。
それぞれが自分のゴルフと向き合いながら、互いの存在が支えになり、刺激にもなる。“チーム大西”には、そんな関係性がある。
