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9年前の“悪夢”完全払しょくへ 堀琴音が2日連続ボギーなしでメジャー初V王手

堀琴音が最終組でアマチュアと“直接対決”。9年前の雪辱を果たすときだ。

所属 ライター
臼杵孝志 / Takashi Usuki

配信日時:2025年10月4日 19時02分

堀琴音が単独首位で最終日へ。9年前のリベンジと果たすときだ
堀琴音が単独首位で最終日へ。9年前のリベンジと果たすときだ (撮影:福田文平)

<日本女子オープン 3日目◇4日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県)◇6616ヤード・パー72>

一分の隙も見せなかった。最終18番パー5で3打目をピン右前1メートルにつけるなど4バーディを奪い、2日連続のボギーなしラウンド。トータル15アンダーに伸ばして首位を守った堀琴音が、国内メジャー初Vに一歩前進した。

【写真】畑岡奈紗に敗れて涙を流す堀琴音

「気がついたらボギーなしだった。この2日間は長いホールでしっかりパーが取れているのが大きいと思います」

この日、442ヤードに設定された5番パー4は3打目でグリーンに乗せ、1.5メートルのパーパットを沈めた。パーオン率は83.3%で、100%だった2日目と同じくショットは絶好調。423ヤードだった4番パー4は残り194ヤードを7番ウッドでピン横2.5メートルに乗せ、しっかりバーディを奪った。

その質問が出ることは分かっていた。『またアマチュアの選手との優勝争いになりますが…』。今大会の決勝ラウンドは2人1組の2サムで、全組が1番ホールからスタートするワンウェイ方式を採用している。最終日最終組の相手は、15歳の高校生アマチュア・廣吉優梨菜(ひろよし・ゆりな)。否が応でも9年前の記憶が甦る。

プロ3年目の2016年大会。首位と2打差の2位で最終日を迎えた堀は、最終組の1組前から出た。終盤には単独首位に立ったが、17番での痛恨のボギーで1打差の2位に終わり、涙が止まらなかった。

優勝したのは当時高校3年生だった畑岡奈紗。最終18番のバーディで4打差を逆転し、「日本女子オープン」史上初のアマチュアVを成し遂げた。

「あのときは自分がヘタだった。そこからいろいろ山あり谷ありで来ているので、今の自分がある。あのときのことは考えずに、地に足をつけて今ある一打のことだけを考えていければいいかなと思います」

悔しさを糧に成長してきた。19年には賞金ランキング150位のどん底も味わった。必死の思いで這いあがってきた21年にツアー初優勝、22年には2勝目を挙げた。ツアー通算309試合目。昨年12月には結婚もした29歳に、9年前の弱さはもうない。

「9年前のことをいろいろ言われるのは仕方ないこと。全部、自分の力で乗り越えればいいんですよ。試合中は僕が笑かすから」

そう話すのは、堀とタッグを組んでいる大溝雅教キャディ。これまで男女ツアーなどで33勝をサポート。プロテストに合格した14年「伊藤園レディス」で初めて堀のバッグを担ぎ、堀のツアー2勝目も支えた。12月に60歳となる大ベテランは、今度も娘のような堀を全力でサポートするつもりだ。

3年ぶりの優勝を目指す最終日。心に引っかかっている小骨のような苦い思い出を消し去ることができる、最高の舞台が巡ってきた。そう思えば、軽々とV争いの重圧も跳ね返せるはずだ。(文・臼杵孝志)

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