<北海道meijiカップ 最終日◇9日◇札幌国際カントリークラブ 島松コース(北海道)◇6709ヤード・パー72>
時は遡り2019年の「伊藤園レディス」。当時「AIG女子オープン」を制し、国内ツアーで賞金女王争いの渦中にいた渋野日向子と同組で、アマチュアとしてプレーしたのが吉澤柚月だった。
“シブコフィーバー”に沸く会場で、その組は注目の的。当時、麗澤高(千葉県)1年生だった吉澤と、同じ学校で1学年上の先輩・六車日那乃のアマチュア2人が、渋野と回るというのも大きな話題になった。
ただ、渋野はここで全英制覇後初の予選落ち。悔しさのあまり、ラウンド後には涙を流した。一方、吉澤と六車はそろって決勝ラウンドに進出し、さらにローアマチュア争いでは吉澤に軍配が上がった。
コーチでもある父・直和さんは今大会の優勝を見届け、「あのときプロになりたいと決めたみたいです」と話す。大勢のギャラリーに囲まれ、注目を一身に集めながらプレーするプロの姿。“自分もいつかは”。ひとりの高校生の胸に、そんな思いが芽生えた。
あれから7年、今度は自分が大勢のギャラリーを引き連れて、初めての最終日最終組を戦った。もっとも、その舞台でも表情は落ち着いていた。
「自分の中での想像では、緊張してドキドキして解放感のある優勝かな、と思っていましたけど、淡々とした感じでした。18ホールやったら優勝した、という感じでした」
2003年生まれの同学年には竹田麗央、高校の先輩には吉田優利、西郷真央らがおり、同世代や先輩たちが次々とツアーで結果を残していく姿を見て「焦りがあった」とも振り返る。
「1年に1回しかないプロテストで失敗したら終わりなので。そんな中、自分がまだテストに受かる前からツアーで優勝していたのを見てすごいなと。大学まで進学してテストを受けていましたけど、在学中は受けようと。4回受けてダメだったら諦めようと思っていました」
同世代や先輩たちの活躍も刺激に、3度目の挑戦でプロテストに合格。歩みを止めず、アマチュア時代に憧れの眼差しで見ていた景色に、今は自分も立っている。プロ3年目で手にした初優勝で、吉澤もその輪の中に加わった。(文・齊藤啓介)
