プロ転向からわずか2シーズンで戴冠　ブレない“最年少女王”山下美夢有が涙を流した場面

＜伊藤園レディス　最終日◇13日◇グレートアイランド倶楽部（千葉県）◇6741ヤード・パー72＞

上田桃子、岸部桃子との緊迫した争いに決着をつける3メートルのウイニングパーパットを沈めると、山下美夢有は右手を何度も振り下ろし感情をむき出しにした。21歳103日。ツアー史上最も若い年間女王が誕生した瞬間だった。

涙ながらに感謝の気持ちを語る山下美夢有【写真】

「風も強かったので、耐えてチャンスが来るまで待とうと思ってました」。まさにその言葉通りの展開が続いた。首位の上田との2打差を追う最終ラウンドだったが、14番までパーを並べ続けた。左右に振られ、根元をさすには勇気を持って池を越えなければいけない難解なピンも多いなか、「伸ばしたいけど落とせない」というギリギリのゴルフが続いた。

ようやく、その「チャンス」が訪れたのが15番パー5だった。残り62ヤードの3打目を58度のウェッジで1メートルにピタリと寄せる。ここでバーディをものにすると、上田が16番でダブルボギー、岸部が17番でボギーを叩き、単独首位に躍り出た。ここまでのガマンが終盤になり実った。

それでも優勝はすんなりとは舞い込んでこない。最終18番でセカンドショットにミスが出ると、その後3メートルのパーパットが残るピンチを迎えた。「本当に緊張した。セカンドも緊張してだいぶ曲げてしまって…」。それでも、最後のパットは強気に打った。ショートする場面が多かった一日を払しょくするかのようだった。優勝に対するものなのか、年間女王に対するものなのかも分からない“緊張状態”を乗り越え、ようやく栄冠をつかみとった。