終始冷静にこの試合、そして1年を振り返った山下だったが、もちろん感情がたかぶる場面もあった。表彰式で流した涙は、「一番落ち込んだ」という4月の「KKT杯バンテリンレディス」の頃を思い出してのこと。「(バンテリンを)ディフェンディングで迎えて、3試合続けて予選落ち。そこから複数回優勝できたのはたくさんの応援があったから」。ここまで励ましてくれた声に感謝する。
さらにいつも通りに話していた優勝会見では、家族の話題になると声を詰まらせた。「きょうだいがいるのに、私を中心として動いてくれた…。迷惑をかける部分もあった」。支えてくれた人々、そして背中を押してくれた声はやはり心を揺さぶる。
今季2試合を残しての戴冠だったが、この後の目標も「しっかり上位で、優勝を目指して頑張っていきたい」というのはブレない。今季の自己評価は「90点」。頂点に立っても、「優勝してもずっと課題はある。きょうも悪いところがありました。ショートゲームとか技術面も足りない」と向上心が消えることもない。「応援されると、強い気持ちで戦える。たくさんの方に応援してもらいたい」。これからも一つひとつ勝利を刻んでいく。(文・間宮輝憲)

