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葛藤のなかで… 藤田光里の劇的優勝の裏にあったもの【現場記者の“こぼれ話”】

葛藤のなかで… 藤田光里の劇的優勝の裏にあったもの【現場記者の“こぼれ話”】

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2020年4月25日 12時00分

藤田光里の優勝から5年
藤田光里の優勝から5年 (撮影:GettyImages)
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内だけでなく世界各国で中止が余儀なくされているゴルフトーナメント。なかなか試合の臨場感を伝えることができない状況が続いています。そんな状況のなか、少しでもツアーへの思いを馳せてもらおうとツアー取材担当記者が見た選手の意外な素顔や強さの秘訣、思い出の取材などを紹介。今回は2015年に初優勝を挙げたある選手のお話。

藤田光里の貴重なCA姿!【写真】

5年前、川奈ホテルGC富士Cの18番でウィニングパットを沈めた藤田光里プロは、両手を高々と挙げて大喜び。その後は大粒の涙を流し、ツアー初優勝をかみしめました。この感動のシーンは、今週行われるはずだった「フジサンケイレディスクラシック」の名場面の一つといえるでしょう。あのとき現場にいたので鮮明に覚えていますが、この優勝が強烈に印象に残っている理由があります。実は大会2日前、藤田プロに2時間近くインタビューをしていたのです。

前週は4位タイ、その前は2位。好調選手のインタビューとあって、威勢のいい話が聞けるかと思いきや、話の大半はそれまでの苦労、不安、葛藤、いら立ちといったネガティブな話ばかりでした。3歳からゴルフを始めた藤田プロ。父・孝幸さんのスパルタ指導の甲斐あって北海道女子アマ5連覇など、輝かしいアマチュア戦績を残しプロ入りしましたが、やりたいことを我慢してきたこともあって、心のどこかで「私の人生は私のもの」という気持ちがあったというのです。

そんな気持ちが爆発したのが優勝の前年、14年の夏のことでした。シーズン当初から拠点を千葉県におき、地元北海道を離れていました。7月までにトップ10が4回。好調をキープし北海道の試合で自宅に戻った8月のこと。久しぶりに会った孝幸さんと衝突したというのです。その後は成績が急降下。シードこそ獲得しましたがシーズン後半は「クラブを握りたくない。ゴルフをやめたい」という状態まで追い込まれていたそうです。

葛藤を抱えながらも、15年シーズンはすぐに訪れました。当時はまだ20歳。藤田プロは大きなプレッシャーと闘っているように見えました。苦しい1年になるのは分かっていたのでしょう。もがきながら、必死に大人になろうとしている藤田プロの姿があったように思います。当初は長くて1時間の取材予定でしたが、ダムが崩壊するかのように、いろんな思いが口をついて出てくることになり、取材は2時間にも及びました。

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