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史上初の平均ストローク60台でも賞金女王に届かず “最終日の女王”が苦しんだもの【記者の目】

史上初の平均ストローク60台でも賞金女王に届かず “最終日の女王”が苦しんだもの【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
秋田 義和 / Yoshikazu Akita

配信日時:2019年12月3日 07時01分

その時、ふと2014年のマスターズGCレディースを思い出した。アン・ソンジュイ・ボミ(ともに韓国)らと女王争いを繰り広げるなか、高額賞金大会の初日に「77」の大叩き。アテストからロッカーに直接向かっていき、話を聞こうとした筆者にマネージャーさんも「今日は話せるかどうか…」と心配そうな表情。それでもロッカーから笑顔で出てきて、いつも通りの受け答えをして、翌日に「66」をたたき出したときのことだ。改めて気持ちの切り替えにさすがと思ったものだが、そんなジエですら、余裕がなくなっているのかと頭をよぎった。

そして最終戦の結果はご存じの通り。大逆転はならず、日本参戦以後6年連続で獲得賞金は1億円突破。昨年は史上初となる年間メジャー3勝、今年は史上初の平均ストローク60台を達成しながらも、3ツアー目の賞金女王に輝くことはなかった。

今季は怪我との戦いだった。「宮里藍 サントリーレディス」を棄権することとなった右手首から親指にかけての痛みは長引き、「ニッポンハムレディスクラシック」棄権に始まって、「エビアン選手権」、「全英AIG女子オープン」を欠場するはめに。さらに指が落ち着いてきたかに見えた9月の「デサントレディース東海クラシック」の前には左足首を捻挫。痛めやすい足首に最後まで苦しんだ。

それ以上にきつかったのは、痛みではない部分だった。「トレーニングができなくなって筋力が落ちましたし、回復も遅くなりました」。女王への大きな障害となったことは明らかだった。

だが、それ以上に気になるのは秋以降の最終日の成績だ。ジエといえば、アメリカで最終日の強さから“ファイナルラウンドクイーン”と呼ばれたほどのプレーヤー。今年も最終日の平均ストロークは鈴木、渋野の上をいく2位。だが、9月に入ってからの11試合(うち1試合は予選落ち)で最終日に順位を上げたのは最終戦のみ。2位タイからスタートして単独2位で終えた「樋口久子 三菱電機レディス」を除けば、8試合で順位を落としている。

この10試合のうち、半分の5試合が最終日最終組。特に「伊藤園レディス」で首位タイから8位タイ、大王製紙英エールレディスの2位タイから11位タイと秋が深まるほど、悪くなる傾向は強くなっていた。

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