この4週の間には、「一人になりたい」と普段東京で一緒に暮らしている母、弟と離れ初めての一人暮らしを2週間ほど経験。「料理を作って、洗濯をして…ゴルフをしない生活ってこういう感じなんだと思ってました。『普通の生活って楽しいな』って。すごく幸せな時間でした」。さらに、スポンサーや友人らに、思いを伝えることで、徐々に気持ちも落ち着きを見せた。どん底のなかこのリフレッシュが効いた。そして、「マスターズで復帰する時には、“すっごくゴルフをやりたくない”というのが“ちょっとやりたい”になってました(笑)」と、再び前向きな気持ちが戻った。
復帰2試合目で、開幕前に掲げていた年間5勝を達成。「ケガから戻ってすぐに勝てたことが自信になりました」。すっかりその顔には笑顔が戻った。さらにこの勝利で、開幕前に「あきらめていません」と話していた賞金女王への望みもつないだ。賞金1440万円を獲得し、通算獲得額は約1億188万円(ランク3位)に。ランクトップのジエが単独2位だったため、その差はまだ約3000万円あるが、「チャンスが出てきた」と再び背中が見えてきた。
「残り4試合で3000万円は簡単ではない。でも、この後1回は勝つチャンスが来ると思う。きょう回ってジエさんも調子がよさそうですし、また差は開くかもしれないけど、あきらめずに最後までいきたいです」。苦しい時間を乗り越えた鈴木愛が、気力十分で勝負の4連戦に挑んでいく。(文・間宮輝憲)