<ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日◇7日◇東京よみうりカントリークラブ(東京都)◇7002ヤード・パー70>
「最低限は見せられたかなと思います」。最終日に「71」と伸ばせず、トータル5アンダー・6位で今季最終戦を終えた蟬川泰果。最終的に首位とは8打差がついたものの、そのアグレッシブなプレーは最後まで賞金レースを熱くした。
前半は、バーディパットが「見た目と、自分の足の感覚が違った」とわずかにカップを外れる場面もありながら、ピンに絡むショットでチャンスを演出。2アンダーで折り返し、優勝による逆転賞金王の可能性も漂わせた。
同組の細野勇策もスコアを伸ばす中、ギアを上げたい後半で思わぬ落とし穴が待っていた。15番パー3、「なぜか飛び過ぎた」というティショットはグリーンをオーバーし、崖のような急傾斜を転がり落ちてしまった。木の根元に止まったボールは左打ちで出すしか方法がなく、この一打は右へ飛び出すミスとなり、痛恨のトリプルボギー。このホールで賞金レースは事実上の終戦となった。
「前半はいいプレーができたと思ったんですが、後半はセカンドショットをもっと上手く打てたんじゃないかと思ったり。15番のトリプルボギーは『ここに来てマジか』と」。一日を振り返る声には悔しさがにじむ。
それでも、賞金王レースを大いに盛り上げたのは間違いない。「『賞金王を取れるかも』という想像をさせられたのは良かった」。最終日まで行方が分からない展開に持ち込めたことは前向きに受け止めつつも、「優勝にもっと近づきたかった」と悔しさは残る。
2023年は賞金ランキング2位、今年は3位。ここまで来れば、王座を求めるのは自然な流れだ。「来年はもちろん取りたい。まだまだ成長しないといけないので、オフにしっかり取り組んで、またJTカップに出られるよう頑張りたい」。
来年からは賞金額ではなく、ポイントランキングで王者が決まる。“最後の賞金王”には届かなかったが、来季は“最初の年間王者”の称号をつかみにいく。(文・齊藤啓介)
