<ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日◇7日◇東京よみうりカントリークラブ(東京都)◇7002ヤード・パー70>
来年からポイント制が導入される国内男子ツアー。今年“最後の賞金王”に輝いたのは、23歳の金子駆大だった。
スタートホールではセカンドショットをグリーン左サイドに外してボギー発進。続く2番でもスコアを落とし、苦しい立ち上がりとなった。「71」とスコアを落としてトータル4アンダー・7位タイでフィニッシュ。だが、蟬川泰果、大岩龍一がが逆転賞金王の条件である優勝に届かず、金子の戴冠が決まった。
5月の「関西オープン」でツアー初優勝を飾ると、11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で2勝目。この時点で賞金ランキング首位に浮上し、最後までその座を守り抜いた。「良かった。やっと終わった」と、シーズンを締めくくる表情には安どがにじんだ。
23歳94日での賞金王は、石川遼、松山英樹に次ぐ史上3番目の若さ。さらに、ツアー初優勝と賞金王戴冠を同一年で成し遂げたのはツアー史上初の快挙だった。
初優勝からそのまま賞金王へ。まさにシンデレラストーリーとも言える一年だが、当の本人は「いい状態を作ればいい位置に行けると思ってました」と冷静だ。この結果は“想定外”ではなかった。
賞金王となった今でも、「海外に行けるスタートラインに立てた」と語り、これをゴールとは考えていない。「ダンロップフェニックス」終了時点の賞金ランク1位の資格を行使し、米ツアー最終予選会(12月11日〜14日)に出場する。同予選会で5位以内に入れば、米ツアーの切符をつかめる。
もっとも、海外での実戦経験はほとんどない。今年2月にアジアンツアー「ニュージーランドオープン」に出場した程度で、米本土でのプレー経験はゼロだ。予選会を突破できなかった場合は、「DP(欧州ツアー)に行く」と明言。賞金ランク1位で欧州ツアーの出場権も獲得したことで、主戦場を移す構えだ。
JGTO発足(1999年)以降、海外メジャー未経験で賞金王となるのは史上初。それでも金子は迷うことなく、世界への一歩を踏み出そうとしている。(文・齊藤啓介)
