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ジャンボが2度仕切り直し、中嶋常幸が悔しがった 片山晋呉が感じる日本オープンの“重み”

レジェンドたちがドラマを作ってきたNO.1ゴルファー決定戦。大会2勝の片山晋呉が思う、日本オープンの重み。

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2023年10月15日 11時15分

百戦錬磨の片山晋呉。日本オープンへの思いは並々ならぬものがある
百戦錬磨の片山晋呉。日本オープンへの思いは並々ならぬものがある (撮影:米山聡明)
選手たちがスタートしていく1番ホールには、歴史ある優勝杯が置かれている
優勝杯には『Winners』として、2005年と2008年に片山晋呉の名前も刻まれている
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選手たちがスタートしていく1番ホールには、歴史ある優勝杯が置かれている (撮影:ALBA)

<日本オープン 3日目◇14日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>
 
自身30度目の「日本オープン」に出場している片山晋呉は憂いでいた。「後輩たちは日本オープンを試合の一環と考えている。もうちょっと魂を持って日本オープンに出てほしい。そのほうがかっこいいと思うけどね」というのだ。

重い!この優勝杯がほしいんです【写真】

そんな片山にとって印象に残る日本オープンは東京ゴルフ倶楽部で開催された1988年大会。ジャンボ尾崎が1メートルに満たないウイニングパットを2度仕切り直し、2つ目のナショナルオープンタイトルを手にした。1打差の2位はジャンボとともに『ビッグ3』といわれた青木功と中嶋常幸だった。

「僕が高校生の時で、ジャンボさんが勝ったシーンをよく覚えている。あの中嶋さんがクラブを叩きつけて本当に悔しそうにしたのは唯一あのときくらいで、あまり見たことがない。本当に魂を込めて男が戦っている姿がいいなって思った」

片山が日本オープンに初めて出場したのは、日本大学に進んだ91年大会。予選落ちに終わったが、3度目の出場となった93年大会では、「すごくうれしかった」と3位タイに入りローアマを獲得した。95年にプロ転向。「プロゴルファーになってみて、日本オープンを獲ってみたいという思いがすごくあって臨んできた」。毎年、調子のピークは10月の日本オープンに合わせてきた。

また、「全米オープン」に出場したことで、ナショナルオープンへの思いをさらに強くした。「アメリカ人はマスターズよりUSオープンに勝ちたい選手のほうが多いからね。その思いがかっこいい。タイガー(ウッズ)ともUSオープンで一度一緒に回っているかな。気持ちの入り方が初日から最終日みたいな感じだった」。

そんな片山が初めて日本オープンに勝ったのは2005年の廣野ゴルフ倶楽部。涙の逆転優勝だった。

「1回獲ったときに、中嶋さんに『2回獲って本物だ』って言われた。だから2回は獲りたいという思いがあった。2回以上獲っている選手となると、だいぶ数は減る。2位が2回くらい(2007、14年)あって、なかなか獲れるものじゃないのは自分でも一番分かっている。そういうのが日本オープンなんだよって分かって後輩たちにはやってほしい。でも時代が違うからね」

片山は古賀ゴルフ倶楽部で行われた08年大会も制し、複数回優勝者に名を連ねた。同時にツアー通算25勝を達成し、史上7人しかいない永久シード権も獲得している。

3日目のスタート前、1番ホールのティイングエリアに置かれた優勝杯の写真を撮る片山の姿があった。「初めて撮ったんだけど、第1回は1927年だよ。96年前。そのなかに自分の名前もある。歴史がある大会っていいよね。僕は歴史が意外に好きなんだよね」。この優勝杯は第二次世界大戦中に紛失し、戦後初の開催となった1952年には新しい優勝杯が作られた。第一回大会からの優勝者の名前が彫られた優勝杯が71年間使われている。

今年1月に50歳を迎え、「次は日本シニアオープン」と、片山の目指すナショナルオープンのタイトルは変わった。初出場となった1カ月前の日本シニアオープンは3打差の6位タイ。「本当の究極は日本シニアオープンに勝って、日本オープンにも勝ちたい。日本オープンは勝つ可能性は1%くらいあるんじゃないかって。同一年に両方獲った選手はいない。また来年だけど、最高に難しいこと。思いだけは自分勝手に持ってやりたい」。

そしてきょうも片山は、ナショナルオープンの“重み”を感じながら、午前8時56分にコースに飛び出していった。(文・下村耕平)

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