<東建ホームメイトカップ 最終日◇12日◇東建多度カントリークラブ・名古屋 (三重県)◇7090ヤード・パー71>
石坂友宏との2ホールに及ぶプレーオフ。最後はパーパットがカップをくるりと回り、稲森佑貴は決め切れずに惜敗した。それでも、18番グリーンを後にした表情はどこか清々しかった。
「正直、このコースは苦手だったので…」。国内開幕戦でここまで戦えるとは、自身でも想像していなかった。首位と5打差で出た最終ラウンド、とりわけ上がり2ホールは圧巻だった。
17番パー5。5番ウッドで放った225ヤードのセカンドはグリーンに着弾し、あと少しでアルバトロスというスーパーショットに。楽々イーグルを奪い、この時点で首位タイに浮上した。続く18番もバーディ締めで「65」。熱いガッツポーズを見せ、ホールアウトした時点では単独首位だった。
石坂が1つ伸ばして勝負はプレーオフへ。舞台となった18番パー4は強いフォローが吹くコンディション。ティショットは風に乗れば左サイドの池まで届くリスクがあった。最終組のマイケル・ヘンドリー(ニュージーランド)はこの池につかまり、プレーオフ進出を逃した。
ティショットで池を避けた稲森だが、2ホールともセカンドはグリーンをオーバー。硬いグリーンに加え、フォローの風となれば、ボールを止めるのは至難の業。1ホール目は奥からの絶妙なアプローチでしのいだが、2ホール目はこらえきれずボギー。勝負はそこで決した。
「負けたことは僕のゴルフの実力不足。もちろん悔しいですが、ちょっと自信がつきました」。今週は強風の影響で上位陣も伸び悩むなか、6アンダーをマーク。「しぶとくやれた」ことは大きな収穫だった。
昨年は“稲森賞”とも言えるフェアウェイキープ率1位の座から陥落。9季連続という大記録が途絶えた。「去年の結果は不甲斐なさ過ぎた。フェアウェイキープ(率1位)も取られてしまった」。オフは原点に立ち返り、自身のゴルフを見つめ直した。
シードを獲得した頃に取り組んでいた基礎練習を繰り返し、初心に回帰。自信に満ちていた頃のドライバーショットの感覚が徐々に戻りつつあり、「イメージ通りに飛ばすことができた」と手応えを口にする。初日のフェアウェイキープ率は1位、最終日も85.714%で2位。ラフに外れた場面もバウンドによるもので、「全然悪いショットではないです」とうなずいた。
「この経験は無駄ではないので、次につなげたい」。2023年「ACNチャンピオンシップ」以来となる勝利には届かなかったが、確かな手応えをつかんだ一戦となった。今年もフェアウェイから勝利へとつながる一打を積み重ねていく。(文・齊藤啓介)
