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37歳・木下裕太が復活Vに涙 “最強のふたり”との大熱戦を制す

木下裕太、5年ぶりの復活優勝で男泣き。

所属 ライター
田中宏治 / Koji Tanaka

配信日時:2023年10月1日 18時00分

島野隆史キャディと二人三脚で勝利をつかみとった
島野隆史キャディと二人三脚で勝利をつかみとった (撮影:鈴木祥)

<バンテリン東海クラシック 最終日◇1日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>

首位タイから出た木下裕太が同じ最終組で回った金谷拓実、星野陸也との激しい優勝争いを制し、5年ぶりのツアー2勝目を飾った。「日本を飛び出して戦っている、最強と言ってもいい2人と真っ向勝負をして勝てたのは自信になった。うれしい」。初優勝の後もシード維持に苦しんできた37歳は、こみ上げる涙と笑顔で優勝を喜んだ。

あふれ出てくる涙を拭う木下裕太【写真】

最終組の3人が首位に並んで終盤を迎えるという滅多に見られない大熱戦のなか、木下は常に勝負を迫られた。ただ一人、3打目勝負となった15番パー5では「先に星野君がえげつないショットを打ったので、行くしかないと思いました」。残り130ヤードから6メートルのバーディチャンスにつけると、これを沈めてガッツポーズ。2オンを果たした2人もバーディで混戦は続いた。

続く16番パー3では金谷が先に2メートルのバーディチャンスを作る。再び「行くしかない」と覚悟を決めた木下はさらに内側につける。「5Iでつかまえ気味にカットするちょっと特殊なショット。自分でもびっくりしました」と振り返るスーパーショット。しかし、このホールはグリーンを外した星野を含めて全員がパーだった。

前日の3日目にも16番でバーディチャンスを逃がし、そこから連続バーディを奪っていた木下は「今日の18番は自分の飛距離ではバーディはない。狙うなら17番しかない」と勝負をかける。ティショットは1人だけ1W。残り138ヤードの2打目を3メートルにつけてバーディを奪い、ついに混戦から抜け出した。

18番パー4では星野がバーディパットを外した直後、1.5メートルのパーパットを沈めて決着。「昨夜は不安やプレッシャーよりも、遠足の前の日のようなワクワクで寝付けなかった。2人が80点のプレーをしたら、こっちは100点じゃないと勝負にならない。キャディとは相手がすご過ぎて、むしろ気が楽じゃないかと話していました」。強い2人に立ち向かったからこそ、満点のプレーをすることができた。

開幕から9試合連続予選落ちと大不振だった昨季も、今大会では9位に入るなど相性抜群。「ここに来ると1Wもアイアンもパットも良くなるんです」。特に良かったのは悩んでいたはずのパッティングだ。日本大学ゴルフ部の後輩でもある島野隆史キャディから「木下さんには短いL字パターが合う」と提案され、火曜日からテスト。最初は32インチを試したが、短すぎたため、これまでより1インチ短い33インチのL字マレットに落ち着いた。4日間の平均パット数(パーオン時)は1.6327回で出場選手中6位。後輩のアドバイスが見事にハマった。

島野キャディは昨年まで2年間フル帯同していたが、今季は3分の1程度の試合でしかコンビを組んでいない。「ボクの成績が悪いからです。後輩にも家族がいるので、レッスンの仕事をしながら、スポットで担いでもらうようにしました。これでようやくビッグボーナスが払えますよ」。下部のチャレンジツアー(現在のAbemaツアー)で8年を過ごした苦労人は、ここで最高の笑顔を見せた。(文・田中宏治)

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