近年、クラブセッティングを組む上でトレンドの一つになっているのがアイアンの「コンボセット」だ。
1つのモデルで構成されたアイアンセットは、上の番手になるほど、ボールを上げて飛ばすためにパワーと技術が必要になり、ミスヒットにもシビアになる。そのため、打ちこなすのが難しいロングアイアンやミドルアイアンを飛びと寛容性に優れたモデルに置き換える「コンボセット」がプロアマ問わず人気となっているのだ。
最新ギアに精通するクラブコーディネーターの鹿又芳典も、アイアンの「コンボセット」を推奨するひとりだ。
鹿又芳典（かのまた・よしのり）。1968年生まれ、東京都出身。千葉県にあるゴルフショップマジック代表。最新ギアの的確で分かりやすいインプレッションが人気。フィッターとしての豊富な経験と知識で、結果の出るクラブ選びをサポートする
「アイアンは番手によって距離を正確に打ち分けていくクラブですが、ロングアイアン、ミドルアイアン、ショートアイアンと各カテゴリで求められる性能は異なります。下の番手であれば飛びや球筋をコントロールできる操作性が必要になりますし、上の番手はボールの上がりやすさやつかまりなど、やさしく飛ばせる性能が求められるわけです。その意味で『コンボセット』はとても理に適っています」（鹿又）
鹿又は自分に合った「コンボセット」を作る上で、フォーティーンの「TB」シリーズが理想的と話す。
「これまで『コンボセット』を作るには、さまざまな壁がありました。やさしいモデルを入れるにしても、ヘッドの素材や構造が変わることで、番手ごとに打感の違いが出てしまうことがほとんどでしたし、ロフト角など、振り心地を統一するための細かなスペック調整も必要でした。一方で、フォーティーンの『TB』シリーズの3モデルはいずれも軟鉄鍛造のキレイな顔で、同じ素材、構造で作られていますので、どんな組み合わせでも打感が揃ってくれます。番手ごとのロフト設定も同じですので、最適な弾道の出るモデルを選ぶだけで、簡単に『コンボセット』を作ることができるのです」（鹿又）
湾曲したバックフェースの形状がフォーティーン独自の「シアターブレード」。マッスルバックのようなフィーリングで寛容性の高いアイアンを作ることが可能となる
同じ軟鉄鍛造、単一素材のヘッドで異なる特性を持った3つのアイアンを作ることができた最大の要因は、フォーティーン独自の「シアターブレード」構造にある。バックフェースのトゥからヒールまでを湾曲させた形状にすることで、シャープな形状や心地良い打感をキープしたまま、寛容性を高めることが可能となった。「TB」シリーズではモデルごとに最適な「シアターブレード」構造を採用することで、飛距離・寛容性・弾道高さの異なる3つのアイアンをラインナップすることができたのだ。
「『シアターブレード』のメリットを最大限に生かしながら、極限のやさしさを追求したのが最新モデルの『TB-3 FORGED』です。大型ヘッドで寛容性を高めながら、適度なオフセットを付けることでボールが逃げずにつかまる設計になっています。ユニークなのはヘッドを軽量化することでバランスを変えずにシャフトを0.25インチ伸ばし、楽に高さが出せるようにしたことです。通常、つかまりと弾道高さは相反する要素で両立は難しいものですが、『TB-3 FORGED』はそれを高い次元で両立できています。軟鉄鍛造の心地良い打感で、ロングアイアンでもやさしく高弾道で飛ばせる性能には驚かされました」（鹿又）
他のモデルと違和感なく組み合わせられる整った顔に仕上げながら、適度なオフセットでつかまりの良さを出した『TB-3 FORGED』。最強クラスのやさしさを持った三男が加わったことで『TB3兄弟』は細かなニーズに応える「コンボセット」が組めるようになった
「シリーズの中心となる『TB-5 FORGED』は飛びと寛容性のバランスが良く、一般のアマチュアゴルファーが求めるど真ん中の性能を持っています。そして『TB-7 FORGED』は最もシャープで打ち出しが低く、高い操作性を備えています。ここに軟鉄鍛造としては究極のやさしさを持った『TB-3 FORGED』が加わったことで、あらゆるレベルのゴルファーの細かなニーズに対応した『コンボセット』が組める『TB3兄弟』が完成したわけです。アイアンはスコアの要となるクラブですから、上達を目指すゴルファーなら使わない手はないですよ」（鹿又）
中弾道で操作性が高い長男の『TB-7 FORGED』（写真左）、中・高弾道で性能バランスに優れた次男の『TB-5 FORGED』（写真中央）、そして最もミスに強く高弾道で狙える三男の『TB-3 FORGED』（写真左）が揃ったことで、さまざまな組み合わせのコンボセットが組めるシリーズになった
“ネクヒロ選手”が人生初のコンボセットに挑戦！
では、『TB3兄弟』を活用することでどんな「コンボセット」を組むことができるのか。プロテスト合格を目指して奮闘する“ネクヒロ選手”の中島萌絵に、鹿又指導のもとで最適な組み合わせを探ってもらった。
中島萌絵（なかじま・もえ）。2001年生まれ、茨城県出身。マイナビネクストヒロインゴルフツアーに参戦しながらプロテスト合格を目指す。平均飛距離250ヤードの飛ばし屋で、アイアンは6番から使用している
中島 アイアンは苦手ではないですが、5番アイアン以上になると高さが足りなくなって、グリーンに止まる球が打てないのでUTを入れています。球を曲げて打つことが多いので、本当はアイアンを増やしたいのですが…。
鹿又 それはぜひ「コンボセット」を試してほしいですね。フォーティーンの『TB3兄弟』なら顔や打感に統一感がありつつ、弾道がしっかり変わってくれますよ。まずは『TB-3 FORGED』を試してみてください。
「コンボセット」を組むために『TB-3 FORGED』の試打を行う中島
中島 安心感のある顔で、すごくやさしいですね。球も楽に上がるし、これなら5番アイアンでも打てそうです。打感も軟らかくて気持ちいですし、適度に弾道を操作できるのも好感触です。
鹿又 『TB-5 FORGED』と『TB-7 FORGED』も同じ7番で打ってみてください。
中島 距離も、弾道高さもそれぞれ違いますね。『TB-7 FORGED』はやや低めの弾道で、すごくボールを操作しやすいです。顔は一番シャープでイケメンなので、かなり好きです。『TB-5 FORGED』は顔も弾道もちょうど中間のイメージ。やさしさと操作性のバランスが良いですね。
鹿又 『TB3兄弟』は番手ごとのロフト角は同じですが、モデルごとに弾道や飛びが変わります。つかまりや弾道高さ、操作性に違いが出るので、自分のプレースタイルに合わせてさまざまな組み合わせを作ることができますよ。
『TB3兄弟』のさまざまな番手を、ライを変えながらテストした中島。モデルごとの特性の違いを感じ取ったようだ
中島 選択肢が多いだけに悩みますね。あえて『TB-3 FORGED』だけにするのもアリかと思いましたが、やっぱり7番アイアン以下はコントロールショットを打つことが多いので、他のモデルを組み合わせたいですね。
鹿又 通常、「コンボセット」は2つのモデルを組み合わせることが多いですが、あえて『TB3兄弟』全てを入れるのも面白いですよ。
中島 それいいですね！ 距離や球筋の打ち分けを多くする9番とPWは『TB-7 FORGED』で、間の7番と8番は『TB-5 FORGED』。しっかり狙った距離を飛ばしたい5番と6番は『TB-3 FORGED』を使いたいです。番手ごとに細かくモデルを替えることでイメージ通りの振り心地、弾道が出やすくなるので、アイアンの悩みが一気に解消された気がします。
中島が『TB3兄弟』で組んだ「コンボセット」。番手ごとに細かくモデルを分けることで、最適な弾道と振り心地が得られるようになった
鹿又 ヘッド形状やつかまりが番手ごとに適正にフローする組み合わせで、飛距離の階段も整うはずですよ。
中島 同じヘッドでアイアンセットを組むと上がりにくい番手と上がり過ぎる番手が出ます。今までは自分でなんとかしようとしていましたが、「コンボセット」を組むとこんなに簡単になるんですね。試合でも試してみたいです！
プロを目指す“ネクヒロ選手”にとっても『TB3兄弟』を使った「コンボセット」は魅力的なものだったようだ
鹿又おすすめ「コンボセット」を紹介
最後に、鹿又が考える『TB3兄弟』を使ったおすすめの「コンボセット」を教えてもらった。まずは『TB-3 FORGED』と『TB-5 FORGED』を使ったやさしさ重視の組み合わせだ。
鹿又が「自分が使うならコレ！」と話すおすすめセッティング。9番とPWに『TB-5 FORGED』、8番から上は『TB-3 FORGED』を採用している
「『TB-3 FORGED』は単体で見ても非常に優秀なモデルで、しっかり本数を入れることでアイアンショットが楽になります。8番から上は『TB-3 FORGED』でやさしく高いボールでキャリーを出し、下の番手は『TB-5 FORGED』で適度な操作性をプラスしています。自分が使うならこのやさしさ重視の『コンボセット』ですね。上を何番まで入れるかは好みになりますが、『TB-3 FORGED』のやさしさなら5番まで入れてみるのもアリですよ」（鹿又）
続いて、操作性を重視したいタイプのゴルファーにおすすめなセッティングが『TB-7 FORGED』をメインにしつつ、上の番手だけを『TB-3 FORGED』に置き換える「コンボセット」だ。
競技志向の強いゴルファーなどは『TB-7 FORGED』を中心にしつつ、ロングアイアンだけを『TB-3 FORGED』にするのもおすすめだ
「シリーズの中ではアスリート向けの部類に入る『TB-7 FORGED』ですが、『シアターブレード』構造の効果もあって十分な寛容性を備えています。そのため、競技ゴルファーなど、中・上級者の方には『TB-7 FORGED』を中心にしながら、ロングアイアンだけ寛容性に優れた『TB-3 FORGED』に置き換える『コンボセット』もおすすめです。現在、軟鉄鍛造のキャビティなど、アスリート系のアイアンを使っている人にぜひ試してほしい組み合わせですよ。心地良い打感で気持ち良くボールを打てて、しっかりグリーンを狙っていけます」（鹿又）
今回紹介した組み合わせ以外にも、『TB3兄弟』を使えば、多種多様な「コンボセット」を作ることができる。番手ごとに求める性能が何かを考えながら、最適な組み合わせを見つけたら、間違いなくアイアンショットがやさしくなるはずだ。
◉取材協力／上総モナークカントリークラブ
◉撮影／田中宏幸 ◉構成／田辺直喜
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