世界的人気のシューズメーカー「フットジョイ」のスポーティな最新モデル
米国男子ツアーにおいて80年連続(1945年以来)で使用率No.1を獲得し、国内においても男子ツアーで平均使用率61.6%(今季日本プロゴルフ選手権終了時点)という驚異的な数値を残すなど、世界的な人気を誇るシューズメーカーがフットジョイだ。本革を使用したトラディショナルなモデルから、革新的なテクノロジーを搭載した高機能なものまで、ゴルファーの細かな要望に応えるゴルフシューズを世に送り出している。
今年もすでに多くの新製品がリリースされ、1月には軽量モデルの『FJフューエル』、2月には高機能ツアーモデルの『ハイパーフレックス』、そして4月には快適性を追求した新モデル『FJクオンタム』が発売となっている。いずれもスポーティなデザインに仕上げられたシューズだが、それぞれどんな特性を持ち、どんなゴルファーに合うのだろう。
そこで今回は、最新ギアの的確で分かりやすいインプレッションが人気のティーチングプロ石井良介にフットジョイの2025年モデルシューズの性能をチェックしてもらった。
『FJクオンタム』は「柔らかいのに踏める絶妙な作り」
最初に試したのは『FJクオンタム』だ。“雲の上の履き心地”をキャッチフレーズにした新モデルで、履き心地と歩きやすさの“快適性”にこだわって開発されている。
「足を入れたときの心地良さはNo.1ですね。足全体をふわっと包み込むような感覚で、クッション性が高いので快適に歩くことができますし、通気性の高さで足が蒸れません。カカトをしっかりホールドするような作りになっているので、コースを楽に歩けますし、その分、ラウンド後の疲労も少なくなります。カジュアルなデザインで使う場面を選ばないのも嬉しいポイントですね。ラウンド、行き帰りの移動、練習とさまざまな場面で活躍してくれます」(石井)
「驚いたのは、ただ柔らかいだけでなく、スイング時にはしっかり強く踏ん張れることです。アウトソール(靴底)がふにゃふにゃ過ぎると足元が不安定になりがちですが、『FJクオンタム』は柔らかさの中にもしっかり感がある絶妙な作りになっています。地面をつかむようなグリップ力も備わっていて全く滑りません」(石井)
『FJクオンタム』のアウトソールには、「マルチディメンショナルトラクション」というテクノロジーが採用されている。昨年人気となった『PRO /SLX』などにも採用されたテクノロジーで、スパイクレスでも全方向に高いグリップ力を発揮する。歩行時の快適性を追求しつつ、スイング時の安定感にも抜かりはないわけだ。
「細かい話ですが、標準装備されている靴紐の作りも気に入っています。小さな凸凹が付けられているので、しっかりと紐を絞められますし、履いていても緩みにくくなっています。アッパーのメッシュ素材は防水性も備えているようですし、快適性というシューズとしての特徴を出しつつも、細部までこだわって総合的な性能を高めたモデルだと言えますね」(石井)
『ハイパーフレックス』は「ここ数年でリリースされたシューズの中でNo.1の性能」
2つ目にテストしたのは、ジャスティン・トーマスなど、ツアープロの愛用者が多い『ハイパーフレックス』。ツアーレベルのグリップ力、安定感を追求しつつも、スニーカーライクな快適性にもこだわって開発されている。
「個人的に一番気に入っているのは『ハイパーフレックス』で、ここ数年でリリースされたシューズの中でもNo.1の性能を持っていると思います。スニーカーのような動きやすさとゴルフシューズの踏ん張れる硬さを両立されていて、スイング中に必要な部分でブレーキがかかり、動かしたいところは動いてくれるので最大限にパワーを出していくことができます。どれだけ強く踏んでもシューズが負ける感じが一切なく、しなやかに動いてくれるのでツアープロの使用者も増えているのでしょう」(石井)
『ハイパーフレックス』にはフットジョイのテクノロジーが惜しげなく投入されている。中でもキモとなるのが「フレックス」つまり「硬さ」のコントロールだ。アウトソールには中足部にネジレを抑制する「パワープレート」を配置し、スパイクの間に細かな突起を付けることで強いグリップ力としなやかさの両立に成功している。
「足袋のように気持ち良く足にフィットしながらズレないようにホールドしてくれるのも『ハイパーフレックス』の魅力です。足をカッチリ固めようとするとシューズ自体がカッチリし過ぎて動きにくくなってしまいますが、『ハイパーフレックス』はスニーカーのような動きやすさが備わっています。特にアッパー部分のムチッとした素材が絶妙な硬さで、履いていてすごく気持ちいいです。細かい話ですが、アッパー部分のニットが改良されて、汚れに強くなったことも嬉しいポイントです。手入れが非常に簡単で、頻繁にラウンドをする競技志向のゴルファーにぴったりなシューズと言えますね」(石井)
『FJ フューエル』は「超軽量で疲れにくく、素足のような感覚」
さまざまな素材やテクノロジーを駆使して性能を高めた『ハイパーフレックス』に対し、『FJ フューエル』は使用するパーツの厳選を重ねて作り上げた超軽量のゴルフシューズだ。前作比約10%の重量ダウンに成功し、300グラム以下というランニングシューズ並みの軽さになっている。
「履いてみて最初に感じたのはカカトをガチッと固めるホールド力の高さです。シューズがズレない安心感があるのに、ものすごく軽いわけです。すでに『FJ フューエル』を履いて数ラウンドこなしていますが、スイング中のグリップ力も高いし、ネガティブな感想は全く湧きませんでした。ここまでしなやかで強靭さがある軽量シューズは今までにないですよ」(石井)
フットジョイが行った調査では約半数のゴルファーがゴルフシューズに求める性能として「軽量で疲れにくい」と回答している。シューズの“軽量化”はいつの時代でも必ず求められるキーワードだが、一方で、軽い「華奢で」「頼りない」といったネガティブなイメージも少なからず存在する。ある意味で、メーカーの開発力、技術力が最も問われるカテゴリなのだ。
『FJ フューエル』を開発するにあたり、フットジョイの出した結論は必要なパーツを厳選し、それらを全て軽量化すること。例えばアウトソールはシューズのグリップ力に影響が出ない範囲で溝を入れて、徹底的に軽量化。またカカト部分とアッパー部分の素材を変えることでシューズに必要なホールド力を持たせている。
「シューズにとって軽いは本当に正義ですよ。私も以前は、シューズは重い方が良いと思い込んでいましたが、『FJ フューエル』を履くと歩きやすいですし、ラウンド後の疲労が圧倒的に少なくなります。あとはアウトソールが薄めなので素足に近い感覚が得られることもメリットですね。グリーン上など、足の裏で傾斜を感じたい人にもピッタリではないでしょうか」(石井)
3つのシューズを選び分けるポイントは「履き心地」
フットジョイの2025年最新シューズ3モデルをテストした石井は、自分に合ったモデルを選ぶポイントは「履き心地」にあると話す。
「一番ガッチリしていて本革のシューズに近い履き心地なのが『ハイパーフレックス』です。適度な重量感もあるのでアグレッシブに足を使ってスイングするゴルファーと相性が良いでしょう。『FJ クオンタム』と『FJ フューエル』は軽いという意味では近いものがありますが、履き心地は全く別物です。『FJ クオンタム』はふわっとしていてすごく柔らかいですし、『FJ フューエル』はやや硬めでしっかり踏める感覚があります。どのモデルも快適性とグリップ力、スイングのしやすさなどを高い次元で両立できていますので、履いてみて自分が心地良いと感じるモデルを選ぶと良いでしょう」(石井)
今回テストを行った3モデルはいずれもゴルフシューズとして高い性能を持ちながら、それぞれの個性がしっかりと出ていた。ゴルフシューズを100年以上作りつづけている歴史を持ち、圧倒的な開発力を持つフットジョイだからこそ作れた高機能なシューズだと言えるだろう。100人のゴルファーがいれば100人分の好みがあり、良いと感じるシューズにも違いが出てくる。幅広いモデルをラインナップし、その全てが高い完成度を誇るフットジョイのシューズなら間違いなく、自分の足に合う最高のモデルが見つかるはずだ。
✦FootJoy(https://www.footjoy.jp/)
取材協力/ブリック&ウッドクラブ 撮影/田中宏幸 構成/田辺直喜