前置きが長くなったが、石川遼も愛用する『N.S. PRO MODUS3』を製造している、
日本シャフトの駒ヶ根工場を訪れた。
長野県駒ヶ根市は、都心から車で約3時間。その名の由来になったように、中央アルプスの最高峰、木曽駒ヶ岳の麓に位置し、東には南アルプスを望む、「アルプスが二つ映えるまち」(※駒ヶ根市のキャッチフレーズ)だ。気候は、真夏でも過ごしやすく、涼やかな空気が心地良い。こうした自然豊かな場所で、世界中で信頼されるシャフトが製造されている。
一般的に、カーボンシャフトは、マンドレルと呼ばれる鉄芯に、手作業でカーボン繊維を巻きつけて製造する。部分的にカーボン繊維を変える、巻き方を変えることによって、シャフトの特性を出しやすい、設計自由度の高さが特徴のひとつだ。
その点、スチールシャフトは、パイプ状の金属にステップをつけて製造するため、シャフトの各部によって、微細な硬さやしなり量の差をつけるのはカーボンに比べて、難しいのではないかと思っていた。しかし、
日本シャフトでは、スチールシャフトの肉厚を自在に変えられる“MSAテクノロジー”と、素材の表面硬度を変更する熱処理技術である“MHTテクノロジー”を駆使することで、設計意図にあったシャフトの製造が可能になるという。「これらのテクノロジーによって、スチールには設計自由度がないという言葉を過去のものにしました」(
日本シャフト/シャフト事業部・栗原一郎氏)と、メーカー担当者も胸を張る。