納得の“7勝エース以上”のクラブが…
本間ゴルフ女子ツアー担当レップの井上氏ら現場スタッフは「彼女クラスになると、例えば、同じヘッド、シャフトの微細な個体差でも違和感を持つ繊細さがある。“エースを超えるドライバーが出来ることはまずないだろう”と…」と昨季7勝もしているドライバーを変えるメリットがないのでは?というところから調整を開始。それでもボミの希望である「“しっかりと振ったときでもヘッドが遅れてこない”を実現するために何本も持っていきました(井上)」とすり合わせを重ねた苦労があったという。
「彼女はピュンピュンと動くシャフトは好みではない。昨季はドライバーでのティショットは安定していましたが、変えるのであればさらなる安定性を提供したかった。叩きにいっても左にいきづらく、我慢してくれる…ストレート系から最後に少しドローする理想の弾道を実現できたと思います(井上)」
「もとのエースと同じくらいなら、試合で使うつもりでした。でも出来上がったものはエースより安定していたので完璧。100点ですね(ボミ)」。
両者が納得できた“7勝エース超え”。「ユーティリティに関しても、ものすごく良くなりました。打ち込んだ際にたまに左にいく傾向を抑えるために、先端の剛性を高めたシャフトを用意したらドンピシャでした(井上)」と『フジサンケイレディス』以降、ウッドは完全に切り替えに成功している。
国内女子ツアーでは、プロの希望でシャフトのコスメをピンクカラーに変える例は多くあるが、一見するだけでは、“へ〜、シャフトの色を変えたんだぁ、やっぱり女子プロっぽいよね!”という感想しか持たない。だが比類なき結果を生み出した“変えの効かない1本”を持つプロのケースでは、大変な作業が付きまとうのだ。
ツアー観戦中にお気に入りのプロが、オリジナルカラーのヘッド、シャフトを導入したことに気がついても“たかがカラーチェンジ”と侮るなかれ。
文・標英俊