2015年に男女ツアーを通じて歴代最高賞金総額2億3000万円超えを達成し、賞金女王に輝いたボミ。“最強女王”として今季すでに1勝、を挙げているが『フジサンケイレディス』から“磐石エースドライバー”のシャフトを変更。昨季7勝を生み出したクラブを“あえて”変えた経緯は…?
国内女子ツアーではシャフトカラーをピンクコスメへ変更することを希望するプロが多いが、イ・ボミもその一人
今季開幕前についに“熱望したピンクシャフト”が登場
昨季7勝を挙げ、圧倒的な強さで悲願の賞金女王に輝いたボミ。年間獲得賞金額の歴代最高記録を7試合残して更新した10月の『スタンレーレディス』優勝時には、強さの秘密を3つ挙げていたが、その一つは「
本間ゴルフのスタッフにスイングに合ったクラブをしっかり調整してもらい開幕を迎えられたこと」。納得のいくセッティングでフルシーズンを戦えたことを要因にあげていた。
2015年シーズン前のアメリカ合宿で契約する
本間ゴルフのスタッフとの綿密なクラブセッティング調整を行い、シーズン中は開幕直後の『Tポイントレディス』でアイアン用カーボンシャフト『VIZARD IB85』に差し替えたあとは、磐石セッティングを継続。コースに攻略のための手段は、19度、22度、25度のユーティリティ3本をその日の調子やコースセッティングによって、相棒の清水キャディと相談して入れ替え、また5番アイアンと48度のウェッジを入れ替えることに留めていた。
迎えた2016年シーズン。最高の結果を残したボミのセッティングの変化に当然注目が集まったが、国内ツアー開幕戦『ダイキンオーキッドレディス』前週に開催された米国女子ツアー『ホンダLPGAタイランド』に出場したボミのドライバーシャフトが“ピンクカラー”に変化。『ダイキンオーキッドレディス』の練習日のボミのセッティングを見てみると、『TW727 455ドライバー』に挿さっている『VIZARD YA55』は“グリーン”から“ピンク”に変わっていた。
開幕戦『ダイキンオーキッドレディス』で“イボミピンク”を手にして満面の笑み
『イボミピンク』として3月からカラーバリエーション化されたコスメは、ボミがかねてから「シャフトのカラーを自分の好きなピンクにして欲しい」と要望を出したことをキッカケに開発。今オフに実現し、専用モデルが出来上がった。『イボミピンク』はコスメがウッド用とアイアン用に分かれているのが特徴。ピンクカラーは膨張色のため、ウッドでの使用は安心感を醸成するが、“コントロールを重視するアイアンではイメージが合わない”というボミの意見を最大限取り入れて、アイアン用にはシルバーを下地にしたシャインな光沢系ピンクを用いてイメージを具現化したものだった。
待ち焦がれたモデル…だが実戦では見送り
今季初勝利をあげた『PRGRレディス』での優勝セッティング。序盤は賞金女王としての迎えるシーズンのプレッシャーもあってか昨季の磐石なセッティングでプレー
だが、ボミは開幕戦前のプロアマ戦からは昨季のセッティング(厳密にはウェッジを『
ボーケイSM5』から『
ボーケイSM6』に変更)に戻してしまった。第2戦『PRGRレディス』では万全の体調ではないながらもプレーオフの末、今季1勝目を手にしたが、その際もピンクシャフトの導入はなされず。
優勝会見では「(2年連続の)賞金女王は考えていないけど、年間3勝は欲しい。(ギャラリーは)“賞金女王”だと思って、私のプレーを見ると思うので。心のなかではいろいろなプレッシャーがありました」と開幕戦から不安を口にしていただけに、最も信頼するセッティングに頼るのは自然な流れだったのもしれない。