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2025年話題になった「ツアーギア」をおさらい。ツアープロが愛した“成績に効いたギア”がコレだ

写真・GettyImages、米山聡明、上山敬太、福田文平

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年12月25日 15時39分

日米男女ツアーで話題となったギアを年末に一挙振り返る「ツアーギアトピックス2025」。まずは、国内女子ツアーで初の年間女王に輝いた佐久間朱莉のギアを振り返ると、クラブやシャフトは幾度も変更したものの、パターだけはシーズン中ず~っと不変だった!
 

年間女王・佐久間朱莉の愛用パター『スコッツデールDS72』

 
昨年の今頃はシルバーコレクターの印象すらあった佐久間。今季はシャフトを含めて激しく使用クラブを入れ替えたが、初優勝から4勝してついに年間女王の頂点まで一気に駆け上がった。中でも、パターだけはオフに替えたPING『スコッツデールDS72』から一度も浮気せずに完走した。

新しくなった「PEBAXインサート」はソフトなのに初速が出て「思ったよりも前に転がってくれる感じ」。ダブルベンドの『スコッツデールDS72』にしたことで、それ以前のクランクネックの『2021 PING PUTTER DS72』よりフェースを目標に対して真っすぐ向けやすくなり、パーオンホールの平均パットで昨季の1.7745(11位)から今季は1.7613(4位)に引き上げた。

年間女王を決めた際には「(今季成長できた部分は)パッティングのおかげだと思う。良いストロークができていて、今年はだいぶシビアなパッティングを決めることができました」と、話した佐久間。来季も『スコッツデール』でさらに強い姿が見られそうだ。
 

日本シャフトとの二人三脚で、課題克服と飛距離アップ

 
2025年の8月末には長年の『N.S.PRO 850GH』からアイアンも『PROTOTYPE』へ変更した佐久間。加えて、課題のパー3で多い距離の170~175yd対策に『G.O.S.T』を採用。キャリア初投入の5Iが奏功した。背景には自身のパワーアップによって振れてきて右ミスが増えたことがあり、まず、より重く元しなりの『PROTOTYPE』に変更。試作した6Uで好感触だった『G.O.S.T』を5Iに採用して課題の距離を改善した。

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日本シャフトのツアー担当者の常山洋佑氏は、2023年夏から一緒に取り組んできた、佐久間のドライバー飛距離を振り返り「肌感、当時から10yd伸びた」。2年前の夏に『レジオフォーミュラMB+』にして1年で平均250ydに達し、筋トレや振りやすさも相まって今では「43m/sくらいに2くらい上がった」という。昨夏の全英前にスピンを落とすため『レジオフォーミュラB+』に替えて今夏までに3勝したが、振りやすくスピードも出る『MB+』に今秋戻して4勝目をはたした。
 
契約外でもここまで手厚くサポートしてきた理由は「藤田さいきプロから我々のウッド用カーボンの良さをもっと知ってほしい」と託されたから。常山氏も想いは同じで、同社のスチールシャフトを使う選手なら「カーボンシャフトでもマッチングの良さで相乗効果が期待できると証明したかった」。2023年からの2年以上にも及ぶ、常山氏と佐久間の二人三脚が今年、ついに結実したのだった。

他社メーカーの一部では「絶対に合わなさそう」と分かっていても、新作シャフトが出る度にテストを行う例も多いと言うが、同社は真逆だ。「合わないモノは絶対に打たせない」哲学で選手ファーストを貫き、佐久間の細かな変化に常山氏は目を配り続けていた。
 

国内女子の1Wシャフト最多勝はフジクラ、『NX GOLD』が秋に4勝

 
2025年の国内女子ツアーは、初優勝が12人も生まれた。中でも秋以降に目立っていたのがPINGのヘッドに同じ『SPEEDER NX GOLD』を挿した荒木優奈と脇元華だ。その他にも神谷そらや河本結も、この金色シャフトに替えての優勝が印象的だった。

河本は優勝会見で『SPEEDER NX GOLD』について「それまで右に20ヤード曲がっていた分、真っすぐいったら飛ぶようになった。シャフトの先がしなってくれるので、軽く振っても距離が出るようになって優勝にめっちゃ貢献した」と大喜び。

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極め付きは、今年ずっと腰痛で苦しんできた脇元華だろう。かなりスピードを落として振らざるを得ない状況でもFWキープ率95.2%をマークしてぶっちぎりの初優勝「NX GOLDに替えると勝ちまくり」な事実に皆が気づいた来季は、今季の同社14勝を上回るに違いない。
  

欧米王者は新1Wに移行しても『ベンタスブラック』だけは不変

 
直近の欧米王者のシャフト動向を見ると、『ベンタスブラック』は新ヘッドに移行しても不変だった。2025年のPGAツアーで6勝し、圧倒的な世界ランク1位のスコッティ・シェフラー。そして、7度目の欧州王者に輝いた同2位のローリー・マキロイ。2人はテーラーメイド契約で新1Wへの移行が常に注目されるが、シャフトは絶対不動の『ベンタスブラック』だ。

テーラーメイドの2025年モデル『Qi35』ドライバーを世界ランク1、2位の2人がスキップし、『Qi10』と『ベンタスブラック』の組み合わせで活躍し続けたことで「新ヘッドに替えないのか?」が、感度の高い層から常に注目された年になった。そんな中、11月末の欧州終盤戦で未発表モデル『Qi4D』に移行したマキロイはやはり『ベンタスブラック』(6X)は不変。

この振りやすいシャフトだけは絶対固定して、合う1Wヘッドを選ぶのはシェフラーも同じだ。この安定した『ベンタスブラック』があれば、2026年も欧・米王者2人の覇権継続は約束されたようなものだと言える。
 

L.A.B.パターが米国女子で開幕から連勝し、ZT人気が爆発

 
2025年は日本人選手の参戦が増えて注目を一気に増した、米国女子ツアー。その開幕戦から連勝したのがL.A.B.パターだ。勢いは衰え知らずで「全米オープン」ではJ.J.スポーンが約40mのパットを沈めて勝利し話題に。結果、ゼロトルク人気が世界的に急拡大し、今や米国市場の3割強を占める一大勢力となった。

これは日本の市場でも似た状況となった。24年もリッキー・ファウラーやフィル・ミケルソンらの使用で既に話題だったが、25年はのっけから米国女子ツアーで連勝し、J.J.スポーンのメジャー制覇でL.A.B.パター人気が日本でも爆発。オデッセイやテーラーメイドなど複数社がゼロトルクを模倣したことでさらにブームが加熱、日本市場でもシェア2割強に達する“新カテゴリ”として定着した。

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気になるのは「ゼロトルクを真似た後発メーカーは強いのか?」という点。大手メーカーの一部に恩恵があったものの、逆に本家の実力がかえって知られる結果になった。急に「ゼロトルク」を言い始める社が増えるほど、ゴルファー心理はむしろ「本家本元のL.A.B. GOLFが高くても欲しい」となるのは自明だと言えるだろう。
 

ミズノプロ『S-3』が欧米で3勝ずつ、計8勝のブレイク

 
欧米の新星のアイアンにも共通点が見られた。今年6勝のシェフラーに次ぐ、PGAツアー3勝を挙げたのが、ミズノ契約のベン・グリフィン。そして、欧州男子ツアーで2025年に3勝したマルコ・ペンジも同じ『ミズノプロ S-3』を使っていた。そんな世界8勝モデルが目立つ中、契約フリー女子も変わらずミズノのアイアンで勝利を重ねている。

元々は同社の契約プロで現在は契約フリーの立場だが、使い慣れた『JPX923 FORGED』でついに海外メジャーを獲った西郷真央。彼女の偉業も凄いが、本当に驚くべきは、アイアンを替えたばかりの2025年に欧・米ツアーで各3勝した、ミズノプロの“象徴”モデルでもある『ミズノプロ S-3』の方だろう。

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ご覧の通りの美顔で、そのサイズは76.6mmとアスリート好みのど真ん中。超ハードヒッターのマルコ・ペンジが洋芝のラフを切り裂いて結果を出したのも頷けるし、PGAツアーで平均スコア4位に躍進したベン・グリフィンの活躍にもそれは重なってくる。来季は新モデルにスイッチした国内女子プロにも注目していきたい。
 

世界ツアーで『Z-STAR』シリーズ3つが48勝に到達!

 
2025年はスリクソン『Z-STAR』シリーズが2月に刷新されたが、新ボールで山下美夢有が初メジャー制覇するなど世界中のツアーで勝利を量産。しかも、特定のツアーに限らず、老若男女問わずに結果が出ており、12月にも松山英樹や小木曽喬が『Z-STAR XV』で2勝を加えた。

他社ではツアーボールの2モデル体制も多いが、スリクソンは『Z-STAR♢』が加わって早3代。歴代性能が磨かれる度に使用者を増やしており、2025年は『Z-STAR♢』でJ.J.スポーンが「全米オープン」を制すなど16勝もして、『Z-STAR XV』含めてハードな方が44勝と圧倒的な数字になった。
 

国内男子ツアーで使用率/勝率とも64%でフットジョイが圧倒!

 
1945年以来、80年の長きにも渡りPGAツアーでシューズ使用率No.1をキープし続けてきた、フットジョイ(以下、FJ)。その信頼度は国内男子ツアーでも同様で、今季ももちろん、フットジョイが全試合で使用率No.1。それだけでなく、契約外選手も含めた勝率も64%で1位になっていた!

賞金王になった金子駆大も秋に供給された未発表プロトタイプを試して「ホールド感もあるしグリップ力もある。スパイクは鋲がたまに外れることもありますが、そういうのがないのは嬉しい」と話し、新作に期待満々の様子。また、初優勝をはたした阿久津未来也も新作の“FJらしさ”をこう表現する。
 
「ソールがX状でスイングでもXファクター(捻転差)が大事といわれますが、その動きを考慮して作ったのかなと。飛ばしの要素にもなりそうだし履くのが楽しみ」。プロにとってクラブと匹敵すると言って過言ではないほど、シューズは大事な商売道具。来季は女子も含めてその使用率がさらに上がりそうだ。

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