ヘッドの進化は、ミーリング&浅重心!
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この高速グリーン対策もあったのか、投入された新『トゥーロン』に対し、男子プロたちは「くっつくソフトな打感」「速いグリーンに合う」と口々に語っていた。中でも、スコッティ・キャメロンを長年使う藤田寛之は「トゥーロンの方が柔らかいかも…」と語っていた。
そして、もう一つの大きな変更がウェイト位置。前作はステンレスプレートがソールの真ん中に位置していたが、10gのタングステンウェイト2つがトゥ・ヒールに分散される形で、慣性モーメントが上げられている。
それも、“フェース側の前寄り”にウェイトが位置しており、つまり浅重心化されたということになる。このメリットとは何だろう? 通常なら、ドライバーを例に深重心の方がミスヒットに強くなるはず……。やさしいマレット型が深重心で、反対の浅重心なら難しくなると見てもおかしくない。
浅重心で微細なタッチ。『SM8』と同じパターン?
これはウェッジの話だが、クリーブランドの『フロントライン』シリーズも同様に浅重心を売りとしたパターである。その言い分に、新『トゥーロン』の進化のポイントが重なってくる。
考えてみれば、元々PGAツアーでもスコッティ・キャメロンの【削り出しのブレード型】ユーザーは多い。より繊細なタッチを出せるからに他ならないはずで、深重心のマレットより浅重心な方が繊細さは増す。通常ならミスヒットにも弱くなるが、トゥ・ヒールにウェイトを分散されればこの問題も解決できるということか。
シャフトのカーボン部にまた変化!?
男子ツアー担当の中島氏は、「いまツアーに持ってきたものの色は暫定的です。現状はグレーに近い配色になっていますが、今後ツアーフィードバックを経て、色が変わる可能性もあります」とのこと。
そして初代の【黒】がRだとするなら、【赤】はSかXくらいの硬さになっていたが、硬いカーボン部がさらに長くなるのか。キャロウェイに問い合わせると「【黒】<【グレー】<【赤=緑】の順に硬くなる」と話していた。つまり、黒と赤の中間が今回のグレーということだ。
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フジクラ『MCP』のX-FIRMを使う西村優菜、スタビリティーシャフト『スタビリティ ツアーブラック』を使うルイ・ウーストハウゼン、LAゴルフシャフトを使うブライソン・デシャンボーやチャン・キムなどなど、硬いカーボンシャフトで好結果を出す事例が増えるため、オデッセイがより多様化して操作性を高めるのも納得である。
周辺・浅重心 + 硬シャフト = 振り遅れゼロ ?
ヘッド形状だけでもダメ、打感だけでもダメ、寛容性だけでもダメ。パターは単純な道具に見えて、最も繊細かつメンタルに良くない道具。そして、最も賞金を稼ぐ上でも、スコアを縮める上でも大事な道具。スコッティ・キャメロンとは異なるアプローチで、今回、新『トゥーロン』がやろうとしていることは、端的に下記になるはず。
周辺・浅重心 + 硬シャフト = 振り遅れゼロ
単なる打感のソフトさだけではない、トータルパフォーマンスの良さ、「入ること」「難なく寄ること」に期待したいし、正式リリースが今から待ち遠しい。
Text/Mikiro Nagaoka