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16歳の後藤あいが3連続バーディ締めで史上7人目のアマV達成 “世界のアヤコ”も圧倒的な飛距離を大絶賛

16歳のアマチュア・後藤あいが史上7人目のアマチュア優勝を飾った。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年10月10日 18時07分

16歳アマ・後藤あいが史上7人目のアマチュアVを達成した
16歳アマ・後藤あいが史上7人目のアマチュアVを達成した (撮影:福田文平)

<SkyレディスABC杯 最終日◇10日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6675ヤード・パー72>

優勝を決める50センチのバーディパットを打つまでの間、後藤あいは18番グリーンの前に広がる池を見ていた。同組の2人が先にホールアウト。自分の番が来て、あっさりウィニングパットを沈めた16歳は、帽子のツバに手を当てて静かに、ステップでは史上7人目のアマチュアVを喜んだ。

【写真】頭の位置がすごい! 後藤あいのぶっ飛びスイング

「去年出たときはここでイーグルだったので、『今年も取りたかったぁ』と考えていました。これを入れたら優勝できるとは思っていたけど、なんかボッーと池を見ていました」

普段から高校2年生とは思えないほど落ち着いている。人見知りするおとなしい性格。だが、クラブを握ると戦闘モードにスイッチが入る。単独首位から出た最終日は前半だけで3ボギー。圧倒的な飛距離を武器に400ヤードの1番パー4はティショットをフォローの風に乗せて300ヤード先付近のフェアウェイに着弾させ、550ヤードの4番パー5は残り235ヤードの2打目をグリーン左奥カラーまで運んだ。320ヤードの7番パー4は「流れを少しでも変えるため」とワンオン狙い。ティショットをグリーンまで残り5ヤードのラフまで飛ばした。だが、バーディは来ない。首位の座も明け渡した。

「もう5打差くらい広がったと思っていた。でも、ボードを見たらまだ2打差。あきらめてはいなかったけど、ここから一つでもバーディを取っていこうと思った。あのバーディは本当に大きかった」

得意のパー5だった15番もパー。折れそうな心を奮い立たせたのが16番パー3でリーダーボードを確認したときだった。すでにホールアウトし、トータル3アンダーで単独首位に立っていた高野あかりとは予想外の2打差。「これならなまだイケる」。ギアがようやく入った。ティショットをピン左奥2.5メートルにつけて、待望の初バーディを奪うと、右こぶしを力強く握り締めたガッツポーズが飛び出した。

「普段はしないし、やろうとも思わない。でも、あのバーディのときは自然と出ました。あのティショットはホント、狙ったところに打てました」

17番パー4は残り160ヤードの2打目を7番アイアンでピン右30センチにつける“お先バーディ”。そして、首位に並んで迎えた最終18番パー5で、世界基準の驚弾がさく裂した。「振ろうと思うと距離は出ない。気持ち良く振ることが飛距離を出せるコツ」と話していた女子高生が、「あのときだけは振りました」と優勝への思いをボールに乗せた。フェアウェイを捉えた300ヤードに迫るドライバーショット。残り145ヤードの2打目を9番アイアンでピン左5メートルに乗せて、勝負ありだった。

「勝てるとは思っていなかったので、本当にうれしいです。18番のドライバーは初めてちゃんと振って、ちゃんと当たった。すごくよかったです。好きな言葉というか、いつも思っているのは『最後まであきらめない』。きょうはそれができました。少しだけど、成長を感じることもできました」

神戸市出身で高校はゴルフ部のない全日制普通科の松蔭高に通っている。穴井詩らを指導する石井雄二コーチに小学5年から師事するが、普段の練習は学校から帰宅して、近くの練習場で1時間する程度だ。「通信制の人たちと比べると練習時間は全然少ない。でも、高校に行って勉強することも大事だと思って、決めました」。来週も地元開催の「ECCレディス」に出場し、2週連続Vに挑むが、学校では中間テストが始まる。別の日に一人だけテストを受けるか、テストの代わりにレポートを提出するかは、これから学校との話し合いで決まるという。

「将来は世界で活躍できる選手になりたい」。プロテスト受験は来年。圧倒的な飛距離は間違いなくゴルフファンを魅了していくだろう。大会の模様を中継したCS放送「スカイA」の解説者で世界ゴルフ殿堂入りのレジェンド、岡本綾子も「いまのままでいい。何も変える必要はないわよ。ホント、楽しみな選手が出てきた」と手放しで絶賛し、「チャラチャラしていないとこもいいわね。私の若いころみたい。はにかんだところよ」と笑った。

世界基準の飛距離で、まずは昨年の初出場から4試合目でステップを制した。「まだ足りないとこだらけ。ちょっとずつ埋めていけば、またチャンスはあるかなと思っています」。次はレギュラー、そして世界へ―。スーパー高校生がプロになる日が待ち遠しい。(文・臼杵孝志)

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