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アマチュアにも効果てきめん? スタイヤーノ梨々菜のキレ味増したショットの裏に“マル秘ドリル”あり!【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】

全23試合が行われる今季のステップ・アップ・ツアーも、いよいよ残り2試合になった。先週の大阪から今週は山口に移り、周南カントリー倶楽部で3日間大会が行われる。自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈が注目選手から聞き出した生の情報をお届け! 今週は、その大阪でプロ初優勝を挙げた26歳に“突撃”した。

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ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2023年11月8日 17時00分

ウェイティングからプロ初優勝をつかみとったスタイヤーノ梨々菜。好調を支えるショットの秘密を大和に明かした
ウェイティングからプロ初優勝をつかみとったスタイヤーノ梨々菜。好調を支えるショットの秘密を大和に明かした (撮影:GettyImages)

<山口周南レディースカップ 事前情報◇8日◇周南カントリー倶楽部(山口県)◇6543ヤード・パー72>

全23試合が行われる今季のステップ・アップ・ツアーも、いよいよ残り2試合になった。先週の大阪から今週は山口に移り、周南カントリー倶楽部で3日間大会が行われる。自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈が注目選手から聞き出した生の情報をお届け! 今週は、その大阪でプロ初優勝を挙げた26歳に“突撃”した。

今年のプロテスト合格者の顔と名前を覚えよう!【写真】

■先週はウェイティング出場→プロ初優勝

先週の「明治安田レディスオープン」では、2018年のプロテストに合格したスタイヤーノ梨々菜が、6年目にしてツアー初優勝を挙げた。イタリア人の父と日本人の母を持つハーフだが、兵庫県神戸市出身で話すとバリバリの関西弁が飛び出す。明るいキャラクターで、他の選手たちといつも楽しそうに笑い合っている―-そんな印象が強い選手だ。

そして、出身地からほど近い大阪は忘れられない場所になった。初日にツアーでの自己ベストとなる「64」(8アンダー)をたたき出すと、最後は2018年のステップ賞金女王・河本結との争いを3打差で制した。最終日の12番まで同じスコアで並びながら、終盤に突き放す見事な試合運びだった。

「今年は調子がよかったけど、これまでは最終日がうまくいかなかったんです」。そんなモヤモヤをようやく吹き飛ばしたのは大きいが、実はこの勝利がスタイヤーノにとって意義深い理由がもう1つある。「本当は出られる試合ではなく、ウェイティングから出ることができたんです」。昨年末のQTで思うような結果が出ず、今年のランキングが155位だったスタイヤーノは、この“出られるか、出られないか”という思いを何試合も経験してきた。「残りの試合も出られるか分からなかった状態で勝てたからビックリしました」というのも、偽らざる本音だ。

■スタイヤーノのショットを劇的に変えた練習法

今年の成績を見ると、確かに「調子がいい」という言葉にはうなずける。特に6月の「ルートインカップ」から3試合連続でトップ10入りを果たすなど、それ以前と以後でグッと安定感も増しているように見える。これには明確な理由が。スタイヤーノはその“秘密”を大和に明かす。

「ショットが去年よりもいいです。今年の3月からシンガポールに住んでいる新しいコーチに習い始めたんですけど、ちょうどルートイン前くらいの時期に送ったスイングの動画を見て、『このドリルをやったらいいよ』と言われたものがあったんです」

大和もこれに興味津々。それが「ステップ打ち」というもの。足を閉じてアドレスに入り、一度クラブをフォロースルーの位置に出した後にまずは右足を右へ動かす。そしてトップに上げ切り返す際に今度は左足を左へ移動して打つ、というもの。それを一連の動きのなかで何度も繰り返した。すると本人も「ショットが急にめちゃくちゃよくなった」と驚くほどの効果がもたらされたという。例えばパーオン率を見ると、昨年の64.7343%(31位)から、今年は68.7943%(21位)に大幅アップ。自信を持ってコースでクラブを振ることができている。

狙いはこうだ。もともとスタイヤーノのスイングは、体の沈み込みがあまりなく、棒立ちのような形でその場でクルリと回るような動きだったのが特徴。しかし「“それが悪い原因だ”って言われました」とコーチはそこを問題視した。「これをやるとトップで左足を踏み込む時に、上体が自然と沈み込む。それでタイミングも取りやすくなりました」。有効的なドリルに出会い、それがプレーを一変させたことになる。スタイヤーノにとって、これは今では朝の練習前や、少し状態が悪いと感じた時にも徹底的に行う“指標”になった。

トップからの切り返しで、上半身が沈み、起き上がりを防ぐことが期待できる練習法を聞いて、大和は「アマチュアにもよさそう」と感心。スタイヤーノも「いいと思います!」と自信を持ってお勧めする。こんな取り組みが好調の裏にはあった。

■実はインドア派?

また、これ以外にも夏場に施したパター変更も奏功している。長年「感覚を出しやすいから好きだった」という理由でピン型を愛用してきたが、夏前にショートパットに悩んだこともあり見直し。「ヘッドが大きいと安心感があるし、直進性もいいって聞いた」というツノ型にチェンジした。さらに、これまで32インチだった長さも35インチに伸ばし、グリップも重ためのものをセットすると、これが大ハマり。「ショットとパターに自信を持てたんです」と、これに比例するように調子が上がった、というのだ。

もともと今年の目標は、年末のQTにおいてファースト(1次予選会)が免除され、最終から出場できるステップ・アップ・ツアー賞金ランクトップ10入り(1、2位になると来季のレギュラーツアー前半戦出場権が付与)だったが、同ツアーの優勝者には同じ権利が与えられるため、そこを考える必要がなくなった。「私はファーストQTがヘタクソで…。一昨年は最終日に『80』を叩いて、去年も全然ダメ。通る気がしなかったんです」という恐怖心ともおさらばだ。さらにステップの残り試合にも無条件で出られることに。今年、そして来季の見通しが大きく開ける1勝になった。

趣味は友達と行く旅行で、その土地の美味しいものに舌鼓を打つことが楽しみ。陽気なスタイヤーノにぴったりだが、実はこんな“意外”な一面も持ち合わせている。「ひとりで過ごすオフは、ずっと部屋でゲームをしています。ゲーム用のモニターを買って、そこにプレステ(プレイステーション)をつないで(笑)。たいしてうまくないけど、めっちゃ好きです」。オン、オフをうまく使い分けながら、長いシーズンを戦ううえで大事になる息抜きをしている様子も伝わってくる。

「ファイナルQTに向けて今週、来週も頑張って、いい感じを保ちたいですね」。2週連続優勝がかかる試合でも、キレ味鋭いショットと、安定感あるパッティングにぜひ注目を!

解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。

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