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男子プロの夫と“二人三脚”臨んだ3億円大会 土田沙弥香は千葉で得た「発見」を生かす【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】

中3週のオープンウィークを挟みステップ・アップ・ツアーは青森県が舞台の新規大会が行われる。大和笑莉奈は「アース・モンダンミンカップ」で印象的な活躍を見せた土田沙弥香に注目し、話を聞いた。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2023年7月11日 17時00分

夫婦二人三脚で4日間を戦い抜いた土田沙弥香(右)と、夫の松原大輔。そこでの発見を青森でも生かしたい
夫婦二人三脚で4日間を戦い抜いた土田沙弥香(右)と、夫の松原大輔。そこでの発見を青森でも生かしたい (撮影:鈴木祥)

<あおもりレディスオープン 事前情報◇11日◇青森カントリー倶楽部(青森県) ◇6546ヤード・パー73>

ステップ・アップ・ツアーは、前の試合から中3週の“夏休み期間”を経て、青森県で行われる新規大会からリスタートを切る。これが全23戦あるうちの11試合目で、時期的にもここからが後半戦という雰囲気に。これまで女子ツアー不毛の地ともいえた青森で、どんな熱戦が繰り広げられるのか? 自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈が注目する選手と話し、現在の状態や今大会のキーポイントなどを聞いた。

■好調の要因はロングパットにあり

6月末に開催されたレギュラーツアー「アース・モンダミンカップ」は、賞金総額3億円、優勝で5400万円がかけられる超ビッグトーナメントということもあり、大きな盛り上がりを見せた。そして、そこで今季レギュラー初出場を果たした29歳が、大いにコースを盛りあげることに。マンデートーナメント(主催者推薦選考会)を勝ち抜き出場権を手にした土田沙弥香だ。2日目には「67」をたたき出し8位まで浮上。“初戦”とは思えない健闘ぶりが大和の印象にも残った。

今季のQTランクは173位で、ステップも全試合に出られるという保証はない位置だが、成績を見るとそんなビハインドは感じさせない。5月の「地域みらいグル-プレディス佐嘉窓乃梅カップ」では、1打差の2位タイに入るなど、ここまでの7試合で予選落ちはわずかに1試合。「いつ出られるようになってもいいように、準備はしっかり」という思いが、コースでも見て取れる。

大和が、土田に現在の感触のよさの要因について聞くと、「長いバーディパットがよく入ってくれるんです」という答えが返ってきた。どうやら、ステップで1ラウンドあたりの平均パット数6位(29.0回)と結果を出しているグリーン上に理由があるらしい。本人は「何かを変えたわけではないんでけど、特にここ2カ月くらいは調子がいいですね。自分のなかでは3パットをしないことを心がけているだけなんですけど」と言うが、ジャストタッチで最後にコロリとカップに沈むシーンが多いことも状態のよさを表している。

■男子プロの夫の言葉で「発見」の連続

その裏には、こんな“内助の功”がある。アース・モンダミンカップでは、2年前に結婚した夫で男子プロの松原大輔がバッグを担ぎ、4日間を戦い抜いた。やはりレギュラーとステップでは、そのグリーンスピードの違いは顕著。「ステップはグリーンが遅いので、練習ラウンドの時のパットが全部強かったんです。そしたら『ロングパットの練習をしたほうがいいんじゃない?』と夫がアドバイスをくれて、それをメインにやっていました」。

もともとライン読みに関しては合っている自信があったが、この“猛練習”でタッチを調整したことで、面白いようにパットが決まる。現に4日間通じてのパット数27.25回は、優勝した申ジエ(韓国)らと並ぶ1位タイ。2日目は25回という数字も残した。「パターが入るとこんなに楽なんだな」ということを、改めて痛感したほどのできだった。「ステップでは(グリーンが遅いからパットを)思いっきり打つことが多い。アースでも最初は、全部浅く強く打っていて、それを見た夫はビックリしたと思います(笑)」。自分の感覚と、隣から聞こえてくる心強い声。夫婦二人三脚、72ホールをプレーし続けた。

また、これ以外の面でも男子プロの視点を取り入れたことで「学ぶことが多かった」という一週間を過ごすことができたという。「夫は短いホールでもドライバーで打って、短い距離からショートアイアンやウェッジで攻めたほうがチャンスにつながる、という考え方。私はラフに入れたくないからスプーン(3番ウッド)でティショットを打って、多少距離があってもフェアウェイからグリーンを狙うという攻め方。全然違いますよね」。いわば“真逆の発想”。それを実践することで、これまでとは違う景色が見え、そして結果が出る。土田にとっては「発見」の多い毎日となった。

■思い出した攻撃的姿勢

そして今週は再びステップに舞台を移して、結果を残すべく戦っていく。アップダウンはそこまでないが、アンジュレーションのあるグリーンは特徴的。ただ、やはりグリーンは重くてスピードはそこまで出ない。しっかりボールも止まるため、伸ばしあいの展開が予想できる。ピンを積極的に狙っていくゴルフが求められる場面も多いはず。

そんな時、アース・モンダミンが行われた千葉のコースで感じたことが大いに役に立ちそうだ。「昔はイケイケゴーゴーだったけど、最近は守りがち。夫と話し合いながら回って、今後につながるプレースタイルやコースマネジメントがあったし、また若い子と回ってその攻めの姿勢を見た時に、『昔はこうやってたな』って思い出すこともできました」。大会3日目には攻撃的ゴルフで魅せる20歳の新進気鋭、桑木志帆と回るなど、若手選手から得た刺激も大きな力になりそうだ。

ステップ・アップ・ツアーは帯同キャディが認められていないため、コースでは番手選びやマネジメント、風の読みなど自らの判断力がひたすらに要求される。しかし、迷った時や、弱気になりそうな時、耳に残る夫の声が妻の背中を押してくれるだろう。

解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。

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