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英国の新ルール『ETA』で“犯罪歴発覚”…ベテランキャディの申請が却下 「過去はどれほど記録に残るのか?」 

来週開幕する今季最後の男子メジャー「全英オープン」の前哨戦を前に、ハリス・イングリッシュがドタバタしている。その理由は?

所属 ライター
武川 玲子 / Reiko Takekawa

配信日時:2025年7月9日 09時00分

<ジェネシス・スコットランド・オープン 事前情報◇8日◇ルネッサンスC(スコットランド)◇7282ヤード・パー70>

今年1月の米男子ツアー「ファーマーズ・インシュランス・オープン」を制し通算5勝目を手にしたハリス・イングリッシュ(米国)だが、今週のスコットランド大会、そして次週の今季メジャー最終戦「全英オープン」は別のキャディで戦うことになりそうだ。

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今年1月から始まった英国の電子渡航認証システム『ETA』は、スコットランドと北アイルランドで開催される同2試合に出場する選手、キャディを含む、ヨーロッパ国籍以外のすべての渡航者に適用される。米国籍のイングリッシュとそのキャディ、エリック・ラーソン氏も例外ではない。

だが、そこで問題が発生した。イングリッシュのレギュラーキャディを務めるラーソン氏は、ETAを申請するも“却下”されたのだ。その理由には、英国、または海外で12カ月以上服役した犯罪で有罪判決を受けたことが含まれるという。

実はラーソン氏は30年前、友人にコカインを送った罪を認めて10年3カ月服役したという過去がある。刑期を半分に短縮されて2006年に社会復帰。マーク・カルカベッキア(米国)が、ラーソン氏を再び自分のキャディとして迎え入れ、その後、2008年にはアンソニー・キム(米国)、ジェフ・オバートン(米国)のバッグを担いだ。最近8年間はイングリッシュの相棒としてツアーを戦ってきた、という経緯がある。

スコットランド・オープンのプロアマ戦に出場したイングリッシュは会場のザ・ルネッサンスCでラーソン氏の不在を説明した。イングリッシュは相棒の窮地を知ってから、駐米英国大使に手紙を送ったり、R&A、PGAツアーにも書簡を送るなど色々と手も尽くしてきたという。ラーソン氏が協力するチャリティイベントも嘆願書を送ったが、返答はなかった。「きっと誰も(手紙などを)見ないで、どこかのデスクの上にあるに違いない」とイングリッシュは皮肉を込める。

そのラーソン氏の代役を務めることになったのは、以前タッグを組んでいたジョー・エッター氏。彼の今のパートナーであるデービス・トンプソン(米国)はスコットランド、全英ともに出場権を得られず欠場…のはずだったがここにきて全英の最後の1スポットを獲得した。

果たしてラーソン氏はどこへ行くのか…それは、イングリッシュも不明だとしている。ただ、その一方でラーソン氏がETAを獲得することが重要とイングリッシュは模索を続けている。ラーソン氏は昨年もイングリッシュのキャディとして渡英。しかし今回はETAという新たな制度により、過去の犯罪が露見した。

「どうやら英国はラーソンを評価していないのだろう。とにかくラーソンが渡英して全英オープンでは相棒になれるよう、手を尽くしたい」とイングリッシュは、その手を止めない。「適切な人に会えることがカギ。確かにラーソンには過去があるけれど、それは一体どれほど長く記録として残るのだろうか?」という疑問も投げかけた。(文・武川玲子=米国在住)

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