だが、フェアウェイを捉えたブラッドリーもアンも2オンはできず、ブラッドリーは第3打でピン6メートル、アンは1.5メートルに付けた。
最も長いバーディパットを残したマレーは、最も勝利から遠ざかったかに見えていた。しかし、マレーが12メートルを見事に沈めると、ブラッドリーもアンもバーディパットを外し、終わってみれば、一番不利に見えていたマレーが形勢逆転による勝利を手に入れていた。
米ノース・カロライナ州出身のマレーは名門アリゾナ州立大学を経て、2015年にプロ転向。わずか2年後の2017年にPGAツアーで初優勝を挙げ、彼のキャリアは順風満帆に見えていた。しかし、不調は容赦なく誰にでも襲い掛かるもののようで、シード権を失ったマレーは下部ツアーへ転落。そして今年、ようやくPGAツアーへ戻ることができ、6年5カ月22日ぶりのカムバック優勝を挙げた。
「ハードワークが報われたという思いでいっぱいだ。決して容易な道のりではなかった。ゴルフをやめようと思ったこともあったが、ネバーギブアップの精神で頑張り続けてきた。ここまで戻ってくることができたのは神様のおかげだ」
世界のゴルフ界はビッグニュース続きで騒々しい1週間だったが、最後には熱戦と驚きの展開、そして苦労人が報われたすてきな物語が披露され、実にPGAツアーらしいサンデー・アフタヌーンだった。
文・舩越園子(ゴルフジャーナリスト)