<マスターズ最終日◇12日◇オーガスタ・ナショナルGC(ジョージア州)◇7565ヤード・パー72>
“ゴルフの祭典”の最終日。29位タイから出た2021年大会覇者の松山英樹は、7バーディ・4ボギーの「69」で回り、トータル5アンダー・12位タイで4日間を終えた。過去2度の出場経験があり、中継するTBSの解説を今年から務めた藤田寛之は、松山のプレーをどうみたのか。
今年からマスターズの解説者席に座った藤田。かつては同じ舞台で戦ったこともあるが、最近の松山英樹のプレーをここまでじっくり見たのは初めてだったという。
「すごくいいゴルフをしていたと思います。私はオーガスタを回ったときに、とてつもなく難しいコースだと感じました。そのオーガスタで1日6つも7つもバーディを奪って、こんなに出るんだと思いますよね」。3日目は6バーディ、最終日は7バーディと、一打一打、そのプレーに驚かされた。
「ショットの正確性、パワー、そしてショートゲームが素晴らしい。ショートゲームは元々うまいと思っていましたが、ほかの選手と比べても1段も2段も上に感じました」。ショット力だけでなく、グリーン周りから巧みにピンに絡めるアプローチも超一級品であることを再確認。あらためて世界ランキング14位、そして歴代覇者のすごさを実感した。
この日の3番で“魅せた”アプローチにもうなった。ピンまで30ヤードほどで超砲台グリーン。「グリーン左サイドは縦幅が12ヤードほどしかない。ショートすればまた戻の場所に戻り、オーバーすると下りの難しいアプローチが残る場面」。だがそこで見事にクッションさせ、30センチに寄せた一打には思わず「うまっ」と声が漏れたという。
開幕前から、優勝争いのカギはその年のグリーンコンディションに合わせられるかどうか、と藤田は話していた。「3日目の午後に少し悪くなりましたけど、きょうはまたいいパッティングを打っていましたし、全体的には合っていたと思います。スタッツも悪くないですし、本当に紙一重のところなのでしょう」。4日間のパット数は『111』で、全体3位タイの数字。3パットも1回にとどめた。要所で何度もミドルパットを沈めるなど4日間通して高いレベルを見せた。
「優勝という話になると、もったいないミスが見えてきますが、12位ですからね。歴代覇者や世界トップ選手でも上位に入れなかった選手はたくさんいます。トータルで見たら本当に素晴らしいゴルフです。あのフィールドの中で堂々と戦っているのですから。日本ゴルフ界の宝ですよ」
最終日は優勝を狙うには厳しい位置からのスタートになったが、初日から期待を抱かせてくれるゴルフを続けた。これからも世界のフィールドで戦う姿を楽しみにしている。
■解説・藤田寛之
ふじた・ひろゆき/1969年6月16日生まれ、福岡県出身。92年プロ転向。国内ツアー通算18勝。2012年に43歳で賞金王を戴冠。マスターズは11年、13年の2度出場経験がある。24年の「全米シニアオープン」2位を足掛かりに、昨年は米シニアのPGAツアー・チャンピオンズにフル参戦。葛城GC所属
