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好調二人の明暗を分けた“勝負勘”と3番&12番ホール【今田竜二のマスターズ現地リポート】

好調二人の明暗を分けた“勝負勘”と3番&12番ホール【今田竜二のマスターズ現地リポート】

所属 ALBA Net編集部
小高 拓 / Hiromu Odaka

配信日時:2022年4月11日 18時13分

12番パー3の最終日のピン位置はお決まりの右奥。スミスはピン方向を狙って池に落とした。「(何勝もしている)タイガーとかを見ていると、どれだけトップと差があってもあのピン位置は狙いにいきません。12番はバーディを取ることよりも、バーディチャンスにつけることが先決です。12番で先に打つ選手は、まず少し遠くてもバーディチャンスにつける。そうすれば次に打つトップの選手にプレッシャーをかけられるものです」。もちろん、スミスがいいショットをしてピンの近くに止める可能性もあっただけに結果論ではあるが、マスターズを制する“定石”とは違う攻め方が裏目に出たかたちだ。

■月2ペースで試合に出て勝負勘を磨いたシェフラー

二人の違いとして挙げたのがマスターズに向けた準備だ。スミスは今年に入って出場試合は月1ぐらいのペース。「ザ・プレイヤーズ選手権」を制してから3週間開けてマスターズに乗り込んだ。対してシェフラーは、2月の「WMフェニックスオープン」でツアー初優勝を遂げ、月2ペースで試合に出場。「WGC-デルテクノロジーズ・マッチプレー」で優勝後、1週開けてマスターズに乗り込んだ。

「スミスは3週間開けたことで勝負勘が鈍っているんじゃないかと思っていました」と大事な場面でバーディを奪えなかったり、ボギーをたたいたと指摘する。「逆にシェフラーは優勝しても続けて出場し、試合勘、勝負勘を研ぎ澄ませてきていました。そういう面でも、マスターズに向けて調整してきた感じを受けました」。試合勘を研ぎ澄ませてきたシェフラーは、勝負どころでいいショットを打ち、ボギーをたたかなかった。終始ゲームをリードできたことも勝因に挙げた。

シェフラーは2月にツアー初優勝を遂げてから、わずか2カ月で世界ランキング1位の座についた。“歴代最も無名な世界一”と揶揄する声もあったというが、「このマスターズの優勝により、本当の意味で現時点での世界ナンバー1になったのではないでしょうか。身長190センチと体も大きいですし、ハートもビッグです。スイングも大きい。やっぱりテキサス出身ですね」と新スターが誕生した瞬間だったという。決してフロックではなく、高いポテンシャルに準備をして重ねてきた結果のグリーンジャケット。真の世界一となったシェフラーから目が離せない。

■今田竜二
いまだ・りゅうじ/1976年10月19日生まれ、広島県出身。テレビで見た「マスターズ」に憧れて、14歳で単身渡米。アマチュア時代の米国ランキングはタイガー・ウッズに次ぐ2位。下部ツアーを経て2005年から米国男子ツアーに参戦。2008年「AT&Tクラシック」で日本人3人目の米国男子ツアー優勝を遂げ、翌09年にあこがれのマスターズに出場した。2022年のマスターズはTBSのラウンド解説を務めた。

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