その強い気持ちを72ホール目を終えるまで最も見事に抱き続け、勝利したリードの姿勢は、グレーな噂や出来事はさておき、あまりにも見事だった。
一時は単独首位に立ちながら、上がり2ホールでミスをおかし、2位に甘んじたデシャンボーは、冷たい視線を浴びながら戦い抜いたリードを「ともに戦う同士」と讃え、「リードはグレート・プレーヤーだ。リスペクトに値する」と絶賛した。
誰が何をしたかを周囲が取り沙汰している間に、当の「渦中の人」は自分がやるべきことを周囲の誰よりも見事にやり遂げ、栄冠をつかんだ。それがデシャンボーとリードによる優勝争いであり、リードの通算8勝目が世界に示したものだった。
そうなるべくしてなった必然。なんとも、あっぱれな勝利だった。
文 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)