畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子、原英莉花など、2026年は過去最多となる日本勢15人が出場する米国女子ツアー。その動向にも注目だが、試合以外や海外勢のこぼれ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材しているカメラマン・南しずか氏が気になるネタをピックアップ。これを見れば“米女子ツアー通”になれるかも!?
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2025年は、7人のルーキーが米女子ツアー初優勝を遂げた。若手の活躍が目覚ましい一方で、元世界ランキング1位の36歳、ヤニ・ツェン(台湾)の復活劇も年間ハイライトのひとつだった。
ツェンは11年2月から109週間連続で世界ランク1位を保持し、ツアー通算15勝を挙げている。圧倒的な強さを見せつけていたものの、世界女王のプレッシャーや度重なる怪我に苦しみ、パターのイップスにも陥った。
成績は急降下。一時期は表舞台から姿が消えたため、引退説もささやかれたが、ツェンは諦めていなかった。カラダを回復させ、出場できる試合に出続けた。24年からは左打ちパッティングにもトライした。
7月には「AIG女子オープン」(全英)を見据えて、米女子下部エプソン・ツアーに初めて出場した。会場はニューヨーク州アルバニーの林間コース。「全英特有のリンクスコースとは芝や環境は全く違ったけれど、試合でしか感じられない感情があるので。試合後にはパッティングコーチとメンタルコーチと何を修正すべきか話し合いをした。(全英に向けて)いい準備になりましたよ」と、後日振り返ってくれた。
その効果は現れた。全英で約7年ぶりとなる米ツアー予選通過を果たした。「週末にプレーできたのはひさしぶりすぎたし、うれしくて。3日目は完全に空回りした(笑)」。
最終日は朝から天気が荒れていた。「この18ホールを大切にプレーしてね。今から新たな旅が始まるんだよ」とキャディからアドバイスされたこともあり、悪天候の中でもツェンは落ち着いてティオフした。
「ゴルフができる喜びと感謝の気持ちでいっぱいでした」。最終18番のプレーを終えると、幸せの涙があふれた。トータル11オーバーの63位タイ。「スコアは良くなかったけど、振り返るたびにベストを尽くせたと感じている。ここからが私のスタート」と、晴れやかな表情を見せた。
それから3カ月後、母国・台湾で開催された欧州女子ツアー「ウイストロン・レディスオープン」で優勝。見事な復活を遂げた。
今年の米ツアーの出場優先順位はカテゴリー17(過去21シーズンで優勝した選手)で193番目。ほかにも歴代優勝者として出場権のあるメジャー大会がある。出場できる試合数は多くないが、ツェンの再スタートは始まったばかりだ。(取材・文/南しずか)