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稲見萌寧の銀メダル獲得に「二番で喜ぶのは不思議な気分」【奥嶋コーチの五輪現地レポ】

稲見萌寧の銀メダル獲得に「二番で喜ぶのは不思議な気分」【奥嶋コーチの五輪現地レポ】

配信日時:2021年8月8日 07時00分

ホームアドバンテージがあったとはいえ、4日間を通して世界のトッププロたちと互角に戦っての銀メダル。奥嶋氏は「女子は男子よりも強い選手が来た。そのなかでこうやって渡り合えたのは、彼女にとってすごくいい経験だし、レベルアップになったんじゃないかなと思います」と評価する。

世界と戦う上で初日から感じていたのは飛距離不足。トップタイで迎えた72ホール目の18番ホール(436ヤード・パー4)でそれを象徴するシーンがあった。フェアウェイからのセカンドの残り距離はピンまで178ヤード。5番アイアンでは届かない稲見は、「大きめ」の5番ユーティリティを選択。「前日オーバーしているから、ちょっと緩んだ」とグリーン手前のバンカーへ入れてしまう。それが難しい目玉になって、3打目は出して乗せるだけ。2パットのボギーで最後に首位から陥落してしまった。

「(パー4の)セカンドショットは最低でもアイアンで打てないと厳しい。飛距離が出れば18番は絶対に止まるんです。でも飛距離が出る(同組の)2人が曲げていたから、『飛んでも曲がったら意味はないし、このままでいいや』って思っちゃう。それがよくないですよね」と奥嶋氏は心配している。さらに、「18番では緩んでしまったけど、ユーティリティで飛距離を落としたり、コントロールするのは上手い。やり慣れているんです」と飛距離が出なくても戦えている現状に、もどかししさもあるようだ。

稲見の4日間のフェアウェイキープ率は驚異の85.71%で全体1位の数字をマーク。「変な所に行かないようにティショットを打っていたのが、一番この成績につながっている」と奥嶋氏。その結果、ダブルボギー以上は1個も打たなかった。「あの精度を保って飛んでいたら本当に無敵だと思う」。飛距離の差を完全に埋めるショットの精度でつかんだ銀メダルだった。

奥嶋誠昭
おくしま・ともあき 1980年3月26日生まれ。神奈川県出身。ヒルトップ横浜クラブ内の「ノビテックゴルフスタジオ」で、体とクラブの動きを3次元で計測・解析する『GEARS』(ギアーズ)をはじめとする、世界最先端機器を駆使したレッスンを行っている。ツアープロコーチとして、稲見萌寧、高橋彩華、木下稜介らを指導。いずれの選手もツアー屈指のショットーメーカーとして活躍している。奥嶋氏のSNSにはゴルフの話題だけではなく、小学5年生の愛娘もときどき登場する。

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