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“プレーオフ神話”は五輪でも崩れず 稲見萌寧が銀メダルを争う直接対決で考えていたこと

“プレーオフ神話”は五輪でも崩れず 稲見萌寧が銀メダルを争う直接対決で考えていたこと

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2021年8月7日 17時00分

後半に入ると12番から4連続バーディ。17番では2打目のアプローチを打った後に、雷雲接近のため中断を挟んだが気持ちを切らすことなかった。48分後に再開すると、直後に4メートルのバーディパットを決め、トップを走り続けたネリー・コルダ(米国)に並んだ。最後は2打目で入れたバンカーで目玉になりボギーを喫し、金メダルは逃したが、「ガッカリした気持ちは少なかった。ここまでプレーオフは勝率100%できているので、それを貫き通すというのが一番の気持ちだった」とすぐに気持ちと照準を切り替えた。

「追い込まれると強いタイプ。だから好き」。極力避けたいであろうプレーオフについては、こんな考えを持っている。ここまで挙げてきた国内ツアー7勝のうち、昨年の「スタンレーレディス」、今年の「明治安田生命レディス」、「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」が、延長戦での直接対決を制して手にしたもの。実に3戦3勝。その“不敗神話”は五輪という舞台でも崩れることがなかった。

朝、背中に痛みを感じ、1番ティに向かう直前まで練習グリーン上でトレーナーからケアを受けるシーンも見られた。呼吸がしづらい、と大きな不安を抱えたなかでのスタートだった。「この位置に来ることができるとは思ってなかった」。連日、猛暑のなかでのプレー。満身創痍ともいえるなかで、「五輪に出ている選手はかっこいい」と憧れてきた場所で最後の力を振り絞った。

112年ぶりにゴルフが五輪競技に復活した2016年リオ大会でも、そして今年もマスターズ王者の松山英樹でさえも届かなかった表彰台に、22歳の女子プロゴルファーが立った。「日本開催で日本人がメダルを獲ることができた。これからゴルフを始める、私もプロになりたいという子どもが増えてくれるとうれしいです」。自分の栄誉のみならず、ゴルフ界の未来につながる“価値ある2位”を稲見は誇った。(文・間宮輝憲)

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