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42年ぶり快挙まで残り18H 渋野日向子、3日目バックナイン快進撃の舞台裏

42年ぶり快挙まで残り18H 渋野日向子、3日目バックナイン快進撃の舞台裏

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2019年8月4日 08時30分

そこまでは、キャディを務める青木翔コーチと並んで歩いてきたが、ここでコーチが渋野から離れる。「あそこは1人で考えてほしかった。意図的に先に行きました」(青木コーチ)。1人でセカンド地点に到達した渋野。怒りは消えていなかったが、そこから度胸満点のゴルフが戻った。「まだ怒っていましたけど(笑)、ヤケクソに打ったらピンに(向かって)いったので、『あ、大丈夫』かなと」(渋野)。ピン右3メートルにつけ、これを沈めて反撃を開始した。

続く11番パー5はティショットを大きく左に曲げた。「めっちゃ振ったらどチーピン(笑)」。幸いにも前に打てる状況で、この時点で怒りは収まった。ところがここで約2メートルを決めきれずにパー。それでも続く12番では1.5メートルにつけバーディ。「あそこで入ったのでそこで流れが変わった」と曇りが一転、晴れマークに変わり、その後の猛ラッシュにつなげた。

笑顔多きラウンドが注目されている渋野だが、怒りや悔しさが襲うことだってラウンド中に1度や2度ではない。ましてや海外メジャーともなれば、曇りは幾度となく訪れる。それを自らの感情コントロールで笑顔を取り戻し、同組で首位を走るアシュレー・ブハイ(南アフリカ)にプレッシャーをかけ続けた。

13番はピンをかすめるショットで惜しくもパー。14番ではピンを果敢に攻めて下りの難しいパットを沈めてバーディ。15番パー5ではセカンドを花道まで運ぶとそこから寄せてバーディ。笑顔を取り戻した渋野に追いつく者は、もはやいなかった。そして16番でついに首位に並んだ。「攻めないと勝てない、逃げてボギーはいやだから」。17番もバーディで単独首位、そして18番もバーディで突き放し、圧倒的な強さを見せつける形で、圧巻のバックナインが幕を閉じた。

「きょうが日曜であれと思っていたんですけど、日曜日じゃなかった(笑)。あしたも絶対緊張すると思うけど、最後まで攻めて、頑張れば優勝できるかもしれない。この位置なら優勝を狙わないわけにはいかないので…」

渋野らしい言葉で1日をまとめ、あすへの抱負を語った。現地でも渋野のスマイルはもはや誰もが知るところ。『笑う門には福来たる』。樋口久子が「全米女子プロ」を制したのが1977年。42年ぶりの海外女子メジャー制覇に向けて、日本のスマイルシンデレラが、最後まで笑顔で走り抜く。(文・高桑均)

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