<フォーティネット・ファウンダーズカップ 初日◇20日◇シャロン・ハイツG&CC(カリフォルニア州)◇6542ヤード・パー72>
米国女子ツアーは米本土戦に突入。第1ラウンドが終了し、海外女子メジャー「全米女子オープン」を2度制している笹生優花が4バーディ・1ボギーの「69」をマーク。3アンダー・12位タイと好スタートを切った。試合で60台を記録するのは、昨年のフォード選手権(3月27日~30日)の初日にマークした「69」以来、実に1年ぶりとなる。
「安定していたのと、大きなミスがなかったことが要因です」と振り返り、「よかった」と笑顔を見せた。2日目に向けては「ティショットがいくつかよくなかったので、そこをメインに練習場に行ってきます。あとはパターですね」と課題を明かす。取材対応を終えると、昼食も取らずに真っ先に練習場へ向かった。
そんな笹生だが、練習日に行っていたパッティング練習は独特だった。会場では世界のトッププレーヤーたちがそれぞれの方法で調整に励んでいる。世界ランキング2位のネリー・コルダ(米国)ら多くの選手は、ヘッド軌道と出球を整える器具を使い、ショートパットを繰り返し打ち続けていた。一方で、スティックをボールとカップの間にセットしてラインを意識する選手もおり、練習方法は実にさまざまだ。
そのなかで笹生が行っていたのは、ボールの両サイドにヘッドが通る幅でティを2本ずつ設置し、さらにボールとカップを結ぶライン上にもボールが通る幅でティを2本置くドリルだ。加えて、ティを1本差してスティックを固定し、フォロースルーではヘッドがそのスティックの下を通るようにストロークしていた。
パッティングのヘッドは、アドレスの高さを保ったまま直線的に動くわけではない。体を中心に半円のアークを描くことで、打ち出したい方向に対して真っすぐなストロークが可能になる。「体が軸になってヘッドが動くならいいんですけど、手でアークを作ってしまうと良くない。手でなんとかするより、体でアークを作る」ことが大事だという。
「目的は1つだけではないのですが、スティックにヘッドが当たらないように打つこと、(ボールの両サイドの)ティに当たらないように振ること。目で見えると手で何とかしたくなってしまうんですけど、そうではなく、しっかり体で感じるという練習です」。手先でヘッドを操作するのではなく、体を軸に自然なアークを描く。正しい動きを安定して再現するために、感覚ではなく“体に覚え込ませる”ドリルだ。
「ボールを構えたところからどれぐらいの幅でスティックを置くのかは全部決まっています。ティとボールが通るところの距離感や高さも決まっている」。何となくの練習ではなく、同じ動きを積み上げるための“型”だ。その距離感などは体格やアドレス姿勢によって異なり、人それぞれ。笹生の距離感については「それは内緒です(笑)」と企業秘密だ。
この練習は「2023年からやっているので、もう3年半だ。もうこんなにやっているんだ!」と自身でも驚くほど長く続けてきた。同じことを長期間やり続けるのは簡単ではない。途中で新しい練習法に目移りしてしまうケースも多いだろう。
「他にもいろんな練習方法はあります。1個だけではないですけど、ベースみたいなのはないといけない。どうしてこの練習をずっとやっているかというと、“何があっても戻る場所を作りたかった”から」。調子が悪いときでも安心して戻れる“家”のような存在だ。
このベースづくりはプロになってから本格的に始めたが、アマチュア時代から取り入れていた。「自分が毎日できるものを作りたいというのはあったんですけど、データなどがわかるような人たちと会っていないし、どうしてやっていたのかはわからなかった。だけど、『これを毎日やったら安心する』っていう自分がいた。その理由はわからない。なんでこれを自分で選んだのか。これが自分に何の意味があってやっているのかっていう理由はわからなかった」と当初を振り返る。
だが、「プロになって、アメリカに来て、理解してやるのと理解しないでやるのは全然違うことに気が付いた」とこの練習の意味を学び、現在は理解した上で取り組んでいる。「理解しないと、上手く行かないときに『なんでだろう…』って悩んで終わってしまう。何も考えないで勝手にできちゃうのもすごくいいと思うけど、シーズンって長いので。できるだけ調子が悪いとき、戻さないといけないときに、そういうアイディアがないと苦しいでしょ」と話す。
笹生は2024年の全米女子オープンを制して以来、優勝を果たせていない。25年は18試合に出場するうち、予選通過は4試合(T-モバイル・マッチプレーを除く)のみだった。
「悪い時でもちゃんと理解してやることがあったら、前向きになれる。(いい時が)いま来なくても、いずれ来る。そういうところから自信もくるから、そういう理解力とかも必要になると思います。だから私はこの練習をずっとやっています」
理想の結果が続かなくても前向きに戦い続けられる理由は、“戻る場所”があるからだ。今年はここまで予選落ちはなく、今季5戦目で1年ぶりの60台をマークした。こうした地道な積み重ねは、アマチュアにとっても参考になるだろう。安定感を求めるなら、笹生のように“反復練習”を続けることが一つのヒントになりそうだ。(文・高木彩音)

