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51歳の髙橋竜彦が“師匠”を追って10年ぶり『65』 米QTで奮闘する“弟子”に「頑張っているところを見せないと」

51歳の髙橋竜彦が10年ぶりに「65」をマークし単独首位発進を決めた。

所属 ALBA Net編集部
高木 彩音 / Ayane Takagi

配信日時:2025年10月18日 09時45分

師匠を追いかけて… 髙橋竜彦が単独首位発進を決めた
師匠を追いかけて… 髙橋竜彦が単独首位発進を決めた (撮影:米山聡明)

<ファンケルクラシック 初日◇17日◇裾野カンツリー倶楽部(静岡県)◇6986ヤード・パー72>

「インタビュー受けるのは久しぶりだし、65って記憶にない。いつ以来だろ? わからない」と、報道陣に囲まれながら照れ笑いを見せるのは、レギュラーツアー通算2勝の51歳・髙橋竜彦だ。

【写真】師匠の顔も持つ髙橋竜彦 米QTで奮闘する“愛弟子”

国内シニアツアー第12戦の第1ラウンドで8バーディ・1ボギーの「65」をマーク。このスコアは2015年の国内男子ツアー「ダンロップ・スリクソン福島オープン」(6954ヤード・パー72)2日目以来。7アンダーで単独首位発進を決めた。

ただこの日は「2番で3パットしてしまい」とボギーが先に来る。それでも、「手嶋さんと増田さんが一緒だったので、雰囲気良く」と57歳の手嶋多一、52歳の増田伸洋の明るくて面白い先輩たちのおかげで流れを落とさずに、続く3番でバウンスバックに成功。さらに「66ヤードをバックスピンで(カップの)フチに止まって、普通は入るパターンだなと思って。多一さんも『普通は入るぞ。やっぱりお前は持ってないな』って(笑)」と語る6番を皮切りに4連続バーディを奪い、リーダーボードを駆け上がった。

この日のバーディはすべて3メートル以内。とにかくアイアンショットが光った。「ドライバーは距離が出るほうではない。240~250ヤードじゃないかな。あの2人にだいぶ置いていかれる。でもきょうはアイアンがすごくキレていて良かったです」と笑顔で振り返る。アテストのときには、先輩たちに「こんなにいいスコアいつぶりだ?」など茶化されながらも「ナイスプレー」と声をかけられていた。

昨年6月に50歳となりシニアデビュー。今年で2年目を迎えているが、同ツアーで初めてトップ10入りを果たしたのは前週の「トラストグループカップ佐世保シニアオープン」(4位タイ)のみ。23年はレギュラーツアーのQTファイナルに進出し、85位の資格で昨年は下部ツアーにも出場。そこから「シニア入りを迎えて、『よし頑張ろう』と思ったときに、僕はもともとドライバーに悩んだ時期があるので、それを引きずったまま去年くらいからまたドライバーがおかしくなって…」とクラブを振れないほどの状態になったこともあった。

「今年も上手くいかずに、ドライバーショットにずっと悩み続けたんですけど、少しずつ良くなってきた」。コーチは、昨年に活動休止を発表した上田桃子らを教えていた辻村明志氏で、「飛距離とかよりも今はとりあえずセカンドショット以降」にテーマを絞り練習に打ち込んだ。「あまりそこにとらわれなくなったというか、そこばかりフォーカスしてしまうところがあるので、『そこだけがゴルフじゃない』と少しずつできてきた。まだ行き当たりばっかりだからどうなるか分からないですけど」と、復調の兆しが見えてきている。そして、今回のラウンドで成果を発揮することができた。

髙橋のキャディを務めているのは、いつも笑顔が絶えない女子プロゴルファーで妻の牛渡葉月だ。「基本は一緒にやりたい」と話すように、たまに辻村コーチやレギュラーツアー時代に担いでもらっていた相棒と組むことはあるが、基本的に“夫婦タッグ”で挑んでいる。一番近くで支えてくれている妻の前で好スコアを出せたことに喜びが溢れた。

「(妻に見せられて)良かったし、きょうは途中で(スコア)ボードを見て、倉本さんが良かった。きょうも一緒に夜一緒に食事をさせてもらうんですけど、僕が勝手に倉本さんのことを師匠みたいに思っているんですが、倉本さんが良いスコアでいたので、『よし、明日一緒に回りたいな』と思って」。この日、「67」でエージ―シュートを達成した70歳の倉本昌弘の存在もモチベーションとなった。

そして髙橋は、選手だけではなく、2023年にプロ転向果たした24歳・出利葉太一郎の師匠としての顔も持つ。「いまアメリカに行っていて、あと1日で、いま4位かな。太一郎には頑張ってほしいし、僕もちょっと頑張っているところを見せないと、説得力がなくなるので」と笑顔を見せる。今週、出利葉は米ニューメキシコ州で来季の米国男子ツアーの出場権をかけて争うQスクールファーストステージ(予選会)に出場しており、トータル12アンダー・3位タイでフィニッシュ。上位19名タイまでに入り、12月5日から始まるセカンドステージ進出を決めた。

師匠とする倉本との同組は叶わなかったが、弟子が海を越えた先で奮闘していることも力に。「まだ1日終わっただけで、明日以降どうなるか分からないけど、いまやれることを一生懸命やります」と2日目に向けて意気込みを示した。2006年の「UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ」での優勝以来となる栄冠を51歳でつかむためにも、上位をキープして最終日に進みたい。(文・高木彩音)

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