ツアー2年目だった昨年9月に「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で初優勝。安定した成績でメルセデス・ランキング4位という好成績を残した菅楓華は、“節目のシーズン”にさらなる飛躍を目指していく。
1月中旬。菅は福岡県内で大勢のプロ野球選手たちとともに、「少し緩んでいる状態」という体を新たなシーズンに向けて動かしている。昨年に続き、アスリートコンサルタントの鴻江寿治(こうのえ・ひさお)氏が主催するキャンプに参加。鴻江氏は、人間の体は猫背型の「うで体」と、反り腰型の「あし体」の2つのタイプに分かれ、それぞれに適した体の動かし方があるという“鴻江理論”を提唱している。現在メジャーリーグ(MLB)のニューヨーク・メッツで活躍する千賀滉大投手ら、その教えを受けた選手はプロ野球界を中心に多く、菅もそれを浸透させている真っただ中だ。
大活躍の昨シーズンを終え、12月はコース外の仕事も多忙。ホテルでできるストレッチや、「2日間は休まないように1日おきに練習」と隙間をぬってクラブも振ってきたが、本格始動は年明けから。「打ち込みはしているけど、トレーニングはここから。この後は宮崎に帰って合宿もあるし、ここがスタートという感じですね」。調整のピッチも上がっている。合宿初参加だった昨年は、「自分の体のことや、クラブのことも分からない状態だった」と振り返るが、2度目の今年は理解度も深まっている。「いきなりシーズンに生かせると思うと楽しみですね」と、笑みも浮かぶ。
他競技のプロ野球選手たちとの合宿は、刺激も多い。「うで体か、あし体かで投げ方や立ち姿も違う。自分に合ったフォームでプレーしているからケガも少ないし、いい球、強い球が出ていることがすごいなと思いました。ゴルフにつながりますね」。ちなみに菅は“うで体”の選手。「体重を前に乗せて、体を動かすのがうで体。トレーニングでいうとウエートでも上半身はあまりやり過ぎないようにすることなどを気をつけています。スタート前のアップや柔軟も大事だと知りました」。技術面だけでなく、自らの耳、そして目も活用し、さらなる進化への糸口を探している。
13日には、参加者のひとりで、1月4日にMLBのヒューストン・アストロズへの移籍が正式発表された今井達也投手(前・西武ライオンズ)らとゴルフのラウンドもともにした。「野球選手なのにゴルフのスイングもすごくキレイでした。(今井は)あし体だなという立ち方でしたし、(教わっていることと)共通するものが多かったですね」と、メジャーリーガーの“クラブさばき”にも驚かされた様子だ。
オフは地元・宮崎を拠点に過ごし、「去年はアプローチに課題が見つかったので、このオフはいろいろな球が打てるように種類を増やしたい」という部分などを徹底強化するつもり。昨年は充実のシーズンを過ごしたが、「去年が良かったぶん、今年への不安が大きい。去年のオフにどんなことをしていたか分からなくなるくらい。このオフが大事になる。2026年シーズンも不安がたくさんあるのでそれを無くして、自信を持って挑んでいきたい」と、手綱を緩める余裕を自らに与えることもない。
目標には「2勝目を早く挙げられるように。あとは複数回優勝」を掲げる。昨年の5月17日に20歳になり、今月10日には地元開催のはたちの集いに振り袖姿で参加した。「ここまで注目されたり、ランキング上位で終われると思ってなくてビックリが大きい」と、思い描いてきたハタチ像からはいい意味でかけ離れているというが、「節目の年で2勝目を挙げられるように、目標を立てながら頑張りたい。大人の第一歩。人間性もしっかり成長していけるように」と誓いを立てる。女王候補のひとりが、その“うで体”で、まずは2つ目のトロフィーを手繰り寄せる。(文・間宮輝憲)
