2025年のプロテストに合格したルーキーはどんなクラブを使っているのか。新人プロの初戦である25年の「JLPGA新人戦 加賀電子カップ」で使用クラブを取材。1998年生まれの黄金世代で、8度目の挑戦で合格した鳴川愛里。後編はシャフト重量やウェッジのこだわりのソール形状について聞いた。
岡山県出身の鳴川は、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)会員の母・鳴川章恵の影響で10歳からゴルフを始め、地元の操南中を卒業後、県内のゴルフ場でアルバイトをしながらプロゴルファーを目指した。2017年に初めてプロテストを受験して8度目の挑戦で合格。「クラブは無頓着だったのですが、クラブに対する考え方を変えました」。地元の工房でクラブを調整するようになり、鳴川のゴルフの助けになったという。
ウッドは1番、4番、7番、9番の4本、ユーティリティは5番、6番、7番の3本と、とにかくやさしく、球の上がりやすさを求めた構成だが、シャフトもしっかりとこだわりがある。ドライバーはフジクラ「スピーダーNXバイオレット」の40グラム台の硬さSを挿している。
40グラム台は女子プロの中でも少数派の軽量シャフトになる。「もともと50グラム台のSを使っていたのですが、40グラム台に替えたところ、振り心地がめっちゃ良かったんです。“カルカタ”みたいなのが。それからずっとこれです」。軽くて硬い、いわゆる“カルカタ”シャフトに替えてスイングが安定し、ドライバーのキャリーは230ヤードを誇る。
番手ごとの重量もきれいに整っている。4番と7番のフェアウェイウッドは50グラム台で、9番ウッドは60グラム台。3本のUTは70グラム台、アイアンとウェッジは80グラム台のカーボンを採用。適正重量と振り心地を合わせて10グラム程度ずつ重さを変えたフローである。
「工房の方がめっちゃ考えてくれるので、相談しながら調整しました。アイアンはカーボン(トラヴィル)に替えたら球が上がりやすくなりました。各番手で重いと感じることはないですし、頼りなさもないです。振り心地もよく安定して振れます」。適正な重量でないといいスイングをしてもクラブの挙動が不安定になるため、鳴川のフローの流れは参考にしたいところだ。
また、こだわりの1つが『ボーケイSM10』の58度だ。「ソールは2か所削ってもらっています」。ソールをよく見るとリーディングエッジ側と後方のトレーディングエッジ側の2カ所が削られているのが分かる。
「リーディングエッジ側を削ってもらうことで、ヘッドが刺さらずボールの下にしっかり入ってくれます。トレーディングエッジ側は抜けの良さを求めています」。リーディングエッジ側のバンスを削ることで、ざっくり知らずのソール形状になるという。
前編でも話していたが、球の上がりやすさを求めてパーオン率が20%ほど上がったといい、シャフト重量を自分に合わせることでスイングの安定感が出た。ウェッジのソール形状を変えることでグリーン周りでミスしにくくなった。「スイングを変えずにクラブを替えて球の高さを出せるようになった」と鳴川も話していたが、自分のスイングにクラブを調整したり、短所を補うために調整してクラブの助けを借りている。
プロテスト合格までに8回と時間を要したが、スイングやメンタル面だけでなく、ギア面を整えることでつかんだ合格といえる。鳴川のセッティングは、我々アマチュアにもヒントになることが盛りだくさんだった。
使用クラブのセッティング(2025年 JLPGA新人戦)
1W:ピンG440 MAX(12度/スピーダーNXバイオレット 40-S)
4、7W:ピンG440 MAX(17度、21度/スピーダーNXバイオレット 50-S)
9W:ピンG440 MAX(24度/スピーダーNXバイオレット 60-S)
5、6、7U:ピンG440(26度、30度、34度/TRハイブリッド75-S)
8I~PW:ヨネックス EZONE CB501(TRAVIL IRON 85 S)
50、54、58度:タイトリスト ボーケイSM10(TRAVIL IRON 85 S)
PT:オデッセイ ホワイトホット OG2ボールブレード
BALL:タイトリスト プロV1
グリップ:パルマックス