白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(11月27~30日、宮崎県・宮崎カントリークラブ、優勝:鈴木愛)
プレーオフ2ホール目。鈴木愛は、80センチのパーパットを沈めると両手を高く掲げ、こみ上げる涙をこらえきれなかった。トータル9アンダーで並んだ岩井千怜がボギーを叩いた直後。その一打で、今年8月の「ニトリレディス」に続く今季2勝目(通算22勝目)を決めた。リコーカップ初制覇。メジャー優勝は2014、16年の「日本女子プロ選手権」以来、9年ぶりだった。
正規の最終18番は1打リードで迎えたが、2打目を右のショートサイドバンカーに外し、痛恨のボギー。ここまで4勝5敗と負け越していたプレーオフに突入した。延長戦も舞台は同じ18番。それでも、この日は違った。嫌な記憶が残るホールで、鈴木は勝ち切った。
9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」以降、「TOTOジャパンクラシック」を除いて6試合連続で予選落ち。苦しい時間が続いた。前週の「大王製紙エリエールレディス」で久々に決勝ラウンドを戦い、20位タイ。「この2、3カ月はほとんど予選落ち。先週やっと通ったところだったので、来年につながるゴルフができればと思って宮崎に入りました」。優勝インタビューで漏らした言葉は、偽らざる心境だった。
リコーカップは12度目の出場。これまでの最高成績は2018年と昨年の3位タイ。「メジャーもしばらく勝てていなかったし、印象にも記憶にも残る優勝になった。宮カンは苦手意識もあったけど、自信を取り戻せた。苦手なコースでも勝てると思えた」。特別な1勝が、次への原動力になる。
ツアー制度施行後、メジャー3勝は岡本綾子、不動裕理らに続く史上16人目。それでも「まだまだ成長するところばかり。後半はショットが乱れたので、そこは来年の課題」と視線はすでに先を見据える。
最後は全出場選手に囲まれ、フラワーシャワーの中心に立った。「今年は苦しい1年だった。永久シードの30勝に向けても大きな1勝。まだ遠いけど、優勝を重ねたい」。17年、19年の女王が、静かに復活を印象づけた4日間だった。
