<宮里藍 サントリーレディス 初日◇11日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6619ヤード・パー72>
驚異の14歳が現れた。韓国のソア・キムが「63」をマークし、日本デビュー戦でいきなり首位スタートを決めた。パットを打てば入るの9バーディ。衝撃の大仕事にもかかわらず、超新星は涼しい顔だ。
「きょうはパットがよかったです。このコースはフェアウェイが狭いので、ティショットに集中し、フェアウェイキープを心がけた。目標は4アンダーだったので、少し驚いています」
2012年1月15日生まれのまだ中学2年生。だが、今季の韓国ツアー開幕戦「シエアオープン」で4位に入るなど、韓国ゴルフ界では知られる存在になっていた。2月にはポルトガルで開催されたプロツアーで優勝。「オフのキャンプでポルトガルにいたので、出たら勝っちゃいました」とあっけらかんと話し、ニコニコと笑った。
171センチのスリムな体から放たれるショットはまさに驚弾だ。17番(パー5)は、ドライビングディスタンス計測ホールでこの日最長の271ヤードをマーク。残り252ヤードの2打目はドライバーを握り、いわゆる”直ドラ“でピン奥6メートルに2オン成功。難なくバーディを奪った。
ドライバーの平均飛距離はキャリーで273ヤード。あくまで自己申告だが、練習ラウンドで一緒に回った日本ツアー屈指の飛ばし屋は、初めて見る14歳アマの飛距離に驚き、「あの子、誰?」と関係者に質問していたという。この日のドライビングディスタンスは1位で並んだテレサ・ルー、神谷そらに2ヤード差の平均265.5ヤードで3位。自慢の飛距離に偽りはなしだ。
幼いころはピアニストになるのが夢だった。並行して習っていたテコンドーのコーチに「アスリートに向いている。スポーツをやった方がいい」と勧められた。多くの競技のなかからゴルフを選んだのは「おばあちゃんが『女の子だからゴルフがいいんじゃない』と言ってくれたから」と、かなり軽いノリだった。
初めてクラブを握ったのは11歳のとき。わずか4年足らずの急成長に、またまた驚きだ。将来の夢は「世界ランク1位になること。メジャーとオリンピックに勝って、グランドスラムも達成したい」とスケールは大きい。
アマチュアが初日首位に立つのは、前週の「ヨネックスレディス」の戸髙玲奈に続き、ツアー史上19人目。初日が終わったばかりだが、ツアー史上最年少となる14歳150日での9人目のアマVに早くも期待は高まる。2024年の「ワールドレディスサロンパスカップ」を15歳176日の最年少で制したイ・ヒョソンとは同じ練習場で汗を流した間柄でも結ばれている。
“新鮮力”に目ざとい韓国のファンには『タッコン』の愛称で呼ばれる。韓国語で『アグレッシブ』を意味するイケイケの攻撃ゴルフを残り3日間、貫き通すことができれば日本ツアーに新たな歴史が刻まれる。(文・臼杵孝志)
