＜Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 初日◇17日◇鹿児島高牧CC（鹿児島県）◇6419ヤード・パー72＞
今週の国内女子ツアーは鹿児島県に舞台を移し、きょうから3日間、熱戦が繰り広げられる。昨年は堀琴音が冷静な試合運びでツアー2勝目を遂げた。はたして今週はどんな選手が躍動するのか、青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏がトーナメント現場から見どころを紹介する。
会場の鹿児島高牧CCのグリーンは広めだが、硬く速く仕上がっている。「コースの印象はグリーンが本当にきれいなうえに、アンジュレーションがけっこうすごい。バーディを獲っていくためには、ピンと同じ面に打っていくショット力が必要です。さらにいえば、下りはとてつもなく速いので、登りにつけて“0ライン”につけたい。“0ライン”というのは登りの真っすぐ。そこにつければパターが上手い人は入ります」。
鹿児島高牧CCで行われた歴代優勝者の顔ぶれを見ても、大江香織、菊地絵理香といった飛ばし屋というよりショットメーカーが並んでいる。
さらにコースの特徴として、ドッグレッグホールが多いことから「飛ばし屋には不利」と大西氏はいう。「11番は右ドッグレッグ、13、14番は左ドッグレッグと続く。意外にOBが近くて、飛ばし屋は林の上から見えないところに打っていかないといけない。イメージが湧きづらいんです。特に13番パー5は左に曲げたらOBですし、右に吹かしたら池に入る。14番も左に曲げたらすぐOBなんです。毎年ドッグレッグでOBを打っている選手を見ますね」。優勝するには「とにかくOB禁止！ 心の目で打つような準備をしておかないとダメ」と強調する。
そのなかでピックアップするのは昨年未勝利に終わった吉田優利。前週は2日目に棄権して心配されたが、大会前日の練習ラウンドでは元気な姿を見せている。「オフに辻村明志コーチと魂を燃やして練習に取り組んできた。それがもうそろそろ発揮されてくると読んでいます。この2試合は思ったような結果が残せていないと思うので、ここでポーンと上位に来て自分の流れをつかむ試合になりそう」と話す。
さらに、米ツアーからスポットで参戦する笹生優花の名前を挙げる。笹生は飛距離自慢が揃う米国でも屈指の飛ばし屋だが…。「今週練習を見ていて、笹生優花プロの雰囲気や立ち振る舞いに成長を感じました。さきほどは飛ばし屋不利と言ったんですけど、米ツアーで揉まれてマネジメント能力が高くなってきていると思うので、その辺はクリアしてくるでしょう。あとは本当に雰囲気です。優勝する人って雰囲気がいいんですよね」と期待を込める。
そして、昨年開幕から5試合で3勝を挙げて無双状態だった西郷真央にも注目する。西郷は昨年の最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」では「ティショットに恐怖がある」とフェアウェイキープに苦戦し、4日間35オーバーで最下位に沈んだ。また、西郷にとってシーズン初戦となった2週間前にシンガポールで行われた米ツアー「HSBC女子世界選手権」の3日目にはアイアンの縦距離に苦しみ、1バーディ・8ボギー・3ダブルボギーの「85」を叩いている。
「西郷プロはこの試合が今年の日本初戦です。このオフは『西郷さん、どうしちゃったの？』と聞かれる回数がすごく多かったんです。海外でも本調子でなかった思うんですけど、シンプルに日本初戦でどんなゴルフをするのか楽しみ。西郷プロのナイスプレーに期待したいですね」。西郷が今大会でこれまでの不安を払拭するプレーをすれば、ますます女子ツアーは面白くなっていきそうだ。
解説・大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす！！ 飛距離アップの正解』が発売中。
