大会を主催する日本ゴルフ協会(JGA)は24年、男女、シニアのナショナルオープンでスマートフォンに限っての撮影を解禁した。シャッター音が鳴らない無音アプリの利用、商業・営利目的での使用禁止、ローアングルからの撮影といった違法行為の禁止など、多くのルールはあるが、国内女子ツアーでは撮影が認められている唯一の大会。ギャラリーのなかには、撮影を目的に女子オープンの会場に足を運ぶファンもいるという。
「SNSなどでの拡散によって、大会についての話題が広がり、より一層盛り上がることを期待して」。これがJGAが撮影OKに踏み切った理由だ。世界では当たり前の光景。国内男子ツアーは17年に一部で解禁となり、次第に拡大されて、今は全試合でOKとなった。
だが、女子は日本女子オープンだけ。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は、「国内で販売される携帯電話は盗撮防止などのためカメラのシャッター音が鳴る機能がついている。違法ではないとはいえ、無音アプリをインストールすることを推奨できない。肖像権の問題もあります」として、当面は写真・動画ともに撮影禁止が続く。
海外での試合経験があっても、国内のギャラリーの熱量の大きさは海外の比ではない。今年の「AIG女子オープン」(全英)覇者の桑木志帆は、「たまにゾッとします。ずっと撮られているから怖いです」と冗談交じりに話し、ツアーでも屈指の人気を誇る吉田鈴は「海外ではこれが普通。慣れていかないと」と話していた。
実際、無音アプリを使わないシャッター音は何度も聞こえた。デジタルカメラで撮影する人もいれば、なかにはビデオカメラで撮影するツワモノもいたという。撮影OKは時代の流れだろうし、肖像権で縛るのも限界がある。「ずっと撮影禁止でいいとは思っていないのですが…」と、JLPGAも悩ましい問題の着地点を模索している。
ジエと桑木の最終日最終組の優勝争い、そしてプレーオフはピンと張りつめた緊張感があった。『静』のスポーツであるゴルフ、その醍醐味(だいごみ)を久しぶりに堪能できた。100周年の宝塚GCという舞台も最高だった。
個人的には、そこを写真に収めたいとは思わない。推しの選手を追いかけ、写真や動画を撮ることも、この大会の大きな楽しみだろう。でも、そういうのを全部ひっくるめて、心のシャッターを切るだけでいいのではないか。せっかくリアルな現場にいるのだから。ずいぶん前の子育て時代、子どもの運動会や生活発表会などでビデオ撮影していたころに感じていた“不満”を、ふと思い出していた。(文・臼杵孝志)