<日本女子オープン 最終日◇4日◇宝塚ゴルフ倶楽部 旧コース(兵庫県)◇6185ヤード・パー70>
ロッカールームに戻るためにクラブハウス2階のテラスを歩いていたとき、桑木志帆の目から涙があふれ出した。プレーオフ3ホール目で逃した女子ゴルファー日本一のタイトル。直前の取材にはいつもと同じように丁寧に対応していたが、もう限界だった。
「悔しいです。さすがだなぁというプレーをジエさんには見せてもらった。気合をすごく感じました。自分も応えたかったけど、いいプレーができなかった。80%くらいは出せたけど、気持ちが足りなかったと思います」
2打の貯金を持って単独首位で出た最終日は、2サムで最終組を回った申ジエとのマッチレースとなった。前半を終えてリードを3打に広げた。だが、バックナインは1バーディ・1ボギー。足踏みする間に元世界1位に並ばれ、勝負は18番パー4でのプレーオフにもつれ込んだ。
4日間の平均ストロークが4.346と2番目に難しかった難関ホール。2ホールをパーで分け、カップがグリーン中央付近に切り直された3ホール目はともにパーオン。先に打ったピン左奥4.2メートルのバーディパットはカップに届かず、ジエに強気のパットを決められて日没寸前に勝敗は決した。
「雨で寒くて、体も冷えた。グリーンも重くなった分、届かなかったのか…」
8月の海外メジャー「AIG女子オープン」(全英)はプレーオフを制したが、国内ツアーは3度目のプレーオフも勝者を称える側になった。昨年9月の「ソニー 日本女子プロ選手権」は金澤志奈に1ホール目で屈し、今回は金澤の師匠ともいえる申ジエに敗れた。
王手を懸けていたビッグタイトルまであと一歩だった。それでも、240ptを加えたメルセデス・ランキングは2位の佐久間朱莉に905.13pt差をつけて独走態勢を固めた。さらに強くなるための涙のV逸。「久々に悔しい思いをしたので、また強くなれるんじゃないかなと思います」。永久シード保持者となった勝者に、この日の借りを返すときはすぐにやって来る。(文・臼杵孝志)
