<ダイキンオーキッドレディス 最終日◇8日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
喜びを全身で表現した。最終18番パー5。グリーン手前の花道から54度のウェッジを握った3打目は、鮮やかに30ヤード先のカップに吸い込まれた。自身初の今季初イーグルで5位にジャンプアップ。ピョンピョンと飛び跳ねた鈴木愛に、満開の笑顔が咲いた。
「58度だとどのくらい転がるか分からなかったので、54度で打ちました。17ヤードをキャリーのイメージ。その通りに打てた。いい感じでした。バーディでいいと思っていたので、まさか入るとは思わなかった」
この大会は、ツアー制度が施行された1988年の第1回大会からシーズン開幕戦として琉球ゴルフ倶楽部で開催されている。鈴木はプロ3年目の2015年から連続出場を続け、今年で11度目(20年はコロナ禍で中止)の出場。18年には3位にもなったが、「苦手なコースです」と相性の良さを感じたことはなかった。
初日に「78」を打った昨年など4度の予選落ち。特徴的な高麗グリーンと沖縄特有の風が難易度を上げるが、ツアー通算22勝目を挙げた昨季最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」のコースの宮崎カントリークラブも、高麗グリーンで海からの強い風が吹く。
「シーズン初戦で高麗はちょっと厳しいんです。4、5試合やって来ているなら、また違うけど、グリーンの読みとかアジャストするのが難しい。でも、今回で少しだけ苦手は返上できたかな」
徳島出身で、ジュニア時代から起伏のある四国のコースで腕を磨いてきた。「そうですね。アップダウンのあるコースが好きなんです」。ここ数年、そういうコースで開催されていた試合がなくなっている。19年に優勝した高知・土佐カントリークラブでの「ヨコハマタイヤPRGRレディス」、17、18年に連覇した福岡・福岡カンツリークラブ和白コースでの「ほけんの窓口レディース」、18年大会を制した「Tポイントレディス」は大阪・茨木国際ゴルフクラブ、16年に優勝した「中京テレビ・ブリヂストンレディス」は愛知・中京ゴルフ倶楽部石野コースと、いずれもアップダウンのあるコース。それらの大会はなくなったり、開催コースが変わるなど、周囲には「得意なコースがどんどんなくなる」と嘆いていた。
「自分が思っていた以上にいいオフが過ごせた。いい状態に仕上げることができて、それがそのまま結果につながった。特にショットは初戦にしてはかなり安定していた。こんな状態で開幕戦に臨めたのは初めてかもしれません」
プロ14年目のシーズン。17年と19年に賞金女王に輝いた31歳は「去年と同じ2勝は絶対にしたい。理想は5勝ぐらい。年間女王も取れたら…」と幸先のいいスタートに口調も滑らかだった。得意なコースが激減した分、嫌いが好きになればいい。まずは琉球ゴルフ倶楽部を攻略した。12日に台湾で開幕する「台湾ホンハイレディース」は欠場し、次戦はフラットなコースの千葉・紫カントリークラブすみれコースで開催される「Vポイント✕SMBCレディス」。昨年は最終日に「77」を叩いて、22位に終わったリベンジを果たし、お得意さまをまた一つ増やしていく。(文・臼杵孝志)
