<ダイキンオーキッドレディス 最終日◇8日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
QTランク26位で前半戦の出場権を獲得した36歳の金田久美子が4バーディー・1ボギー・1ダブルボギーの「71」で回り、トータル6アンダー・9位に入った。トップ10入りは、5位だった2023年3月の「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフ」以来、実に85試合ぶり。アテストを終えて取材に応じたベテランは大きく息を吐いて、笑みを浮かべた。
「気楽にできました。こんな気持ちは初めてかも。重荷が取れて、初めて気を楽にしてゴルフができました」
昨年10月に3歳からゴルフを始めた金田の最初の師で、唯一無二の存在だった父・弘吉さんが82歳で亡くなった。40歳を過ぎて授かった娘に、父は全力を注いだ。プロデビュー戦だった09年のダイキンは、初日の途中でギブアップしたが「久美がプロデビューするときは、わしがバッグを担ぐと決めていたんや」とキャディを務めた。以来、二人三脚のプロ生活。コロナ禍で試合がなくなり、再開後も無観客試合で会場にいけなくなった時期を境に急速に体調も悪くなっていった。
金田の試合のときは名古屋市内の自宅では成績に一喜一憂する日々が続いた。「成績が悪いとパパが悲しむ。本当に元気がなくなる。頑張らないといけないと思うと空回りしていた。ゴルフはパパのためにやっていた部分もありました。悲しむ人がいなくなって、重荷が取れた感じなんです。なんかもういないけど、逆にそばにいる。一緒に戦っている感じがします」。
何かと衝突していた親子だったが、いつも一緒にいた。犬も食わない親子げんか。この大会はアマチュアだった05年から連続出場し、今回で18度目(20年はコロナ禍で中止)だが、初めて父のいない開幕戦。だが、パンツの後ろポケットに遺骨をお守りとして忍ばせ、一緒に戦っていた。
「近くにいてくれる。もう体調のことを気遣わなくていいし、楽に戦える。緊張はしなくなりました」
大柄だった父は小さく、軽くなった。ただ、存在の大きさは変わらない。開幕前にはぎっくり腰になって、インフルエンザにもかかった。「間に合うかどうか心配だったけど、よかったです」。9位から出たこの日は3つ伸ばして迎えた15番でダブルボギー、続く16番のボギーとしたが、17番では奥のカラーからパターで10メートルをねじ込んでトップ10を死守した。
「今週はプロになって4日間で1日もラウンド後に練習しなかった。でも、こういうゴルフができた。よかったです」
プロ18年目。最愛の父と変わらずタッグを組んで、4年ぶりとなる通算3勝目を目指していく。(文・臼杵孝志)
