<台湾ホンハイレディース 最終日◇15日◇ザ・オリエントゴルフ&カントリークラブ(台湾)◇6720ヤード・パー72>
2位だった昨年の日本ツアー女王・佐久間朱莉に6打差をつけ、菅楓華がツアー2勝目を手にしたのは台湾の地だった。「このコースは難しいと思っていたし、(スタート時の)3打差はあまり考えず、スコアよりコースと向き合っていこう。きのう、そう考えたら良かった。まったく優勝を意識をしないままスタートしました」。この気持ちが、結果的に圧勝劇につながった。
とはいえ、楽な勝利だったわけではない。1メートルを決めた1番、そして6メートルをねじ込んだ4番とバーディが2つ先行したが、試練の時間も訪れた。
7番は左横10メートルから3パットのボギー。そしてパーオンに失敗した8番では、グリーン手前からの3打目のアプローチが傾斜で一度戻される大ピンチに見舞われた。
「やってはいけないミスをしてしまった」
4打目は手前ピンの上を大きく越えることを覚悟しウェッジでグリーンオン。ただ、その後、下り7メートルのボギーパットを沈めたのは、“きょうは菅楓華の日だ”という雰囲気を感じさせるものだった。
平均ストロークが、初日『76.1667』、2日目『78.3208』、そして3日目が『76』と推移してきたコースでは、油断などする暇はない。「前半は2つバーディが先行して流れもいいかなと思った。でも貯金した分、ボギーで(吐き出し)焦りというか、まだ気は抜けないなと集中し直しました」。この連続ボギーが、再びスイッチを入れたとも言える。「13番のパー3で長いパット(15メートル)が入って、気持ち的に楽にプレーできるようになりました」。コースの特徴ともいえる起伏の激しいグリーンのように、気持ちも波打つ18ホールだった。
ツアー初優勝を挙げた昨シーズンは、開幕から2戦連続で2位になりながらも勝利をつかみ取ることができなかった。「ダイキンオーキッドレディス」は、1打差の首位で飛び出した最終日に「71」と伸ばしきれず逆転負け。続く「Vポイント×SMBCレディス」は2日目終了時点で8打差をつけられてはいたが、最終日を「72」のイーブンパーで終えての2位だった。「最終日にスコアを伸ばすのが課題だった。きょうはバックナインでスコアを伸ばせたのが一番良かった」。こんな部分にも成長を感じる。
今回の勝利で賞金5677万5600円を獲得。実はここにも気持ちが強くなったことが表れている。「賞金が高い大会は頑張りたいという気持ちでスタートするけど、賞金を意識しすぎて結果が出せなかった。きょうは優勝できて夢のように感じます」。20歳は「あまり物欲はない」と話すが、プロゴルファーとしてプレーするうえで、いくら稼げるかは強さのバロメーターにもなる。「去年は念願の1億円(1億640万4033円)を突破できました。今年は去年を越えることが目標。1億円を突破できるように頑張ります」。2戦にしてすでに“6分目”まで登っている。
そして、その使い道を聞かれると、若者の表情がチラリと覗く。「今、ガチャガチャにハマっているので、それを無限に回したいです」。あどけない答えで、記者たちの笑いを引き出す。このガチャガチャというのが、グミのパッケージをミニチュア化した『ピュレグミ リングコレクション』などで、その金額は1回300円。今回の賞金なら18万9252回も回せる計算とあって、「コンプリートを狙いたい」という願いは、楽々クリアできそう。
佐久間、古江彩佳といった強豪から逃げ切っての勝利は価値が大きい。しかもトータル5アンダーは、出場選手で唯一のアンダーパーだ。優勝者しかアンダーパーがいないのは、女子ツアーでは2010年「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」(名称は当時)を1アンダーで制したパク・インビ(韓国)以来、16年ぶりのできごとだ。
「正直こんなに早く勝てるとは思ってなかった。でもオフはコースを回っていても安定していたし、安定していたからこそ不安もありました。開幕戦でも優勝争いができましたし、去年のいい感覚が戻って2戦目。去年の自分の経験を生かせているし、自信を取り戻せました」
優勝会見では海外進出についての想いも語られた。「日本人選手が海外で活躍している姿を見て、うまくなるためにはそこに行ってゴルフに向き合わないといけないとは思うし、今年の結果で考えようかなと。まずは年間3勝が目標だけど、海外メジャーに出場できたらそこで気持ちが変わるかもしれない。でも、今はまだ海外への気持ちはないです」。日本ツアーでしっかりと足場を固める。そんなことを強く決意した台湾での勝利でもあった。(文・間宮輝憲)
