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その切れ味、まさに青龍刀 イ・ミニョンのアイアンショット【女子プロの匠】

その切れ味、まさに青龍刀 イ・ミニョンのアイアンショット【女子プロの匠】

所属 ALBA Net編集部
秋田 義和 / Yoshikazu Akita

配信日時:2017年12月22日 20時05分

大前提として、何故ミニョンは球が上がりやすいユーティリティではなく、扱いづらいロングアイアンを入れているのか。これについて辻村氏は球筋が大いに関係していると見ている。

「ミニョンさんのアイアンの番手別に球筋を見てみると、ショートアイアンはほぼストレート。5番から7番くらいで軽いフェード。そして3番、4番はフェードかスライス。左に曲がる番手は1つもありません。ここから推測するにミニョンさんの場合、本来優しいクラブであるユーティリティだとPWくらいつかまってしまうのかもしれません。ミニョンさんのミスは左に出ることで、それを最も嫌います。出球をイメージしやすく、“右に絶対曲がってくれるクラブ”が彼女にとって最良の選択なのでしょう。また、ロングアイアンはラインを出しやすいことも選んだ理由の1つだと思います」

もちろん、その選択はミニョンの技術があってこそ。「3番アイアンでも高さを出して止められる。ロングアイアンの難しいところは“ボールを上げないと”と意識してしまうあまり、右肩が下がり煽り打ちしてしまうこと。ミニョンさんはそれが一切ない。そこには懐の深さあるからで、だから体も突っ込まない。だからラインも高さも出していける」。では、それを踏まえてスイングを見ていこう。

力感のないアドレス、十分な上体の捻転、インパクト時の顔の位置、アドレスからインパクトまで変わらない左足のツマ先・左ヒザの位置、角度…評価ポイントの多いミニョンのスイングだが、その中で辻村氏がロングアイアンを打つ上での一番のポイントに挙げたのが懐の深さである。

「ミニョンさんは、体とグリップエンドの距離の取り方が非常にうまい。というのもスイング中に懐をつぶす動きがないからです。それにもかかわらず、ダウンスイングでは、左ヒジよりも右ヒジのほうが20センチほど下にあるので、クラブを十分に引きつけています。インパクト後も体とグリップエンドの距離を近づけることなく振り抜いています」

もう1つのポイントがボールへのクラブの入り方。「3番アイアンというのは、ある程度のヘッドスピードとスピン量がないと球が上がらないクラブ。おそらく、ミニョンさんでも3番アイアンを打つヘッドスピードはないと思います。ミニョンさんの使う3番アイアンは中空のもので、難易度的には4番アイアンくらいですが、それでもヘッドスピードが足りていません。それにもかかわらず球を上げられるのは、入射角の良さが要因です。ヘッドの入りがシャロー(浅く穏やかな角度)で、とにかくインパクトゾーンが長い。ロングアイアンというクラブは、あまり上から入り過ぎても煽って打ってもダメなのですが、ミニョンさんはクラブの入り口から出口まで低くボールを拾えている。だから高い球を打てる」

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