白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■伊藤園レディス(11月14~16日、千葉県・グレートアイランド倶楽部、優勝:脇元華)
首位と2打差で迎えた最終日。脇元華は、ただ目の前の一打だけを見つめていた。「きょうは7アンダーで回ろう」。スタート前、キャディとそう言葉を交わし、リーダーボードは最後まで見なかった。
前半で流れをつかみ、後半13番からは4連続バーディ。気づけば「65」。逆転で、待ち続けた初優勝が手の中にあった。28歳でつかんだその一勝は、フルシードを守る価値ある勝利でもあった。
ホールアウト直後は、勝った実感すらなかった。「後ろが何打差かも分からなくて…」。それでも仲間たちの「おめでとう」で、ようやく現実を受け止めた。そしてグリーン脇で、父・信幸さんと抱き合った瞬間、感情があふれ出した。「やったな。よくやった」。その言葉に、ただうなずくことしかできなかった。
プロ入りは2018年。優勝争いに加わっては、あと一歩届かなかった日々。パターイップスのような不調、今季はヘルニアにも苦しんだ。同期や同郷・宮崎出身の選手たちが次々と勝つ姿を見送る中で、「宮崎で唯一勝てていないシード選手」という重圧も背負ってきた。
それでも、この日だけは違った。目標スコアを決め、結果を見ず、積み重ねた一打一打。その先にあったのが、有言実行の「65」だった。
「優勝して(最終戦開催の)宮崎に戻りたい」。プロ入りから抱き続けてきた思いが、ようやくかなった。胸を張って地元へ帰る。その資格を、この一日で手に入れた。
