<富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 最終日◇12日◇石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇6580ヤード・パー72>
初優勝を挙げた昨年11月の「大王製紙エリエールレディス」では、「自分は絶対に泣かないだろう」と考えてもいたが、うれし涙が自然とこぼれてきた。しかし2勝目は、笑顔の締めくくり。ウー・チャイェン(台湾)は、「ダブルボギーでもいい」と思った最終18番をボギーで切り抜け、2位の岩井明愛、佐久間朱莉に2打差をつけて今季初勝利を手にした。
1打差の首位から出た最終日は、風が吹き、ピンも傾斜の厳しい位置に切られておりトータル8アンダー付近で、頻繁に人が入れ替わる混線状態が続く。チャイェンも1つ落とした前半終了時点ではトータル7アンダーと、集団のなかのひとりだった。
「グリーンも難しかったし、自分のパッティングリズムもよくなかった。でも焦らずに。後半も自分の一打に集中しました。絶対によくなるという気持ちが、いい結果につながりました」
1メートルにつけた11番で、いったんパープレーに戻すと、12番では5メートルを沈めて連続バーディ。さらに16番でも4メートルを沈めて伸ばすと、17番パー5では残り47ヤードを58度のウェッジで打った3打目が10メートルと距離を残したが、これもねじ込む。そして気づいた時には、独走態勢を築いていた。
今季は開幕から4試合で3度の予選落ち。決して、いい滑り出しではなかった。2戦目には48年ぶりに母国・台湾で行われたJLPGAツアーにも出場したが、ここも決勝に進めず。「とても悔しかった。コースが難しかったし、自分の調子もあまりよくなかった。いい結果にならなかったです」。それもあり、続く3月の「Vポイント×SMBCレディス」で変化を取り入れた。「コーチが使っていたから」という理由で長尺パターを投入したのが、このタイミングだ。
「去年は順手からクロウ(グリップ)に変えてよくなったけど、今年のダイキン(開幕戦)でリズムがよくなかった。それを長尺に替えたらよくなりました」。まだロングパットは感覚がつかみづらいと言うが、この日も14番で5メートルのパーパットを流し込むなど仕事をしてくれた。3日間の平均パット『28.67』は、全体4位タイと上位につける。傾斜の強い石坂のグリーンを攻略した。
2022年のプロテストに合格。翌年から日本ツアーに参戦し、今季で4年目となる。本やYouTubeで学ぶ日本語は「全然まだまだ」と本人は笑うが、かなりの上達ぶり。優勝会見も、記者とのやり取りをすべて通訳なしで行うほどだ。「日本の生活が好きなので楽しんでいます。つらいとは思わない。食べ物や日本人もみんな優しいから過ごしやすい。お寿司が好きです」。将来的な米国ツアー進出を聞かれても、「日本で頑張ります」。今ではこの国がすっかり“ホーム”になっている。
「人生の目標」として掲げるのも、日本ツアーの女王だ。「徐々に」と言って笑うが、この1勝でメルセデス・ランキングも6位(275.00pt)まで上がった。「全然、余裕がなかった。初優勝と同じで後半も緊張しました。ラウンド中も自分を信じてよかった」という緊張感をくぐり抜けて完勝できる力があれば、それも遠い未来ではないかもしれない。
本人は謙虚に「ランキング10位以内に入ること」をシーズンの目標に掲げる。そしてもうひとつ。「去年はメジャーがあまりよくなかったので、今年はいい成績を出せるように頑張ります」。これが実現すれば、“人生の目標”にも大きく近づく。22歳はこれからも、大好きな日本でいくつも夢を叶えていく。(文・間宮輝憲)
