白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■大王製紙エリエールレディス(11月20~23日、愛媛県・エリエールゴルフクラブ松山、優勝:ウー・チャイェン)
2022年のプロテストに合格し、翌年から日本ツアーに参戦して3年。台湾出身の21歳、ウー・チャイェンがツアー初優勝を挙げた。ホールアウト後、こらえきれずに流れ落ちた涙。慣れない異国の地で積み重ねてきた時間が、ついに実を結んだ。
2位に2打差をつけて迎えた最終日。前半で一つ落としたが、10番から3連続バーディを奪うなど、サンデーバックナインで一気に5つ伸ばした。新女王・佐久間朱莉に3打差をつける堂々の逃げ切り。「そんなに長かったとは思っていない。難しいのも分かっていたし、長く感じなかった」。静かに歩んできた道のりを、淡々と振り返った。
優勝インタビューでも、日本語で自分の思いを伝えた。「レギュラーツアーで初優勝できて、とてもうれしいです。これからも優勝を目指して頑張ります」。台湾にいた頃は日本語とは無縁の生活だったが、「最初はオンラインの先生がいて、日本に来てからは選手の友達やキャディさんにたくさん教えてもらいました」。覚えた言葉は、すべてツアーの現場で身につけたものだ。
プロ1年目には下部ステップ・アップ・ツアーで3勝を挙げ、賞金ランキング1位。その資格で24年からレギュラーツアーに本格参戦し、メルセデス・ランキング32位で初シードを獲得した。日本での生活にホームシックを感じることもあるが、「日本はもともとすごく好き。楽しんでいます」と前を向く。寿司が大好物で、最近はまぐろに夢中だという。
優勝の瞬間については、こんな本音も明かした。「ほかの選手が泣くのを見て、自分は泣かないと思っていました。何で泣くんだろうって、何度も考えていて。でも入った瞬間はまだ大丈夫で、キャディさんと目が合ったら急に涙が出てきて。自分でもびっくりしました」。クールなプレーぶりとは裏腹に、感情は想像を超えてあふれ出た。
母国の大学にも通う4年生で、日台を行き来する生活。その中で掲げる最大の目標は「日本の女王になること」。師匠は、日本ツアーで7度の賞金女王に輝いた台湾のレジェンド、ト阿玉。大好きな日本で、師匠と同じ頂を目指して歩みを進めていく。
